ゴルフの必修科目 「ルール」と「マナー」

キャスター/小倉智昭

 石川遼君のお陰で若い人の間にちょっとしたゴルフブーム到来、ゴルフ場は華やいだ雰囲気になっている。われわれ団塊の親父達の枯れたゴルフも落ち着き払ってよいものだが、ミニスカートのお嬢様が、フェアウエイを走り回る姿も初々しく、目を細めてしまうのだ。ただ、名門と言われるゴルフクラブには、さすがに若者は少なく、相変わらず年配のプレーヤーと、老獪(ろうかい)なキャディだけ。日曜には男性客しか出入りできない所がいまだにある。政治家や経済界の重鎮が、昼休みに交す会話はあたかも今の日本を動かしているかのようだ。還暦を過ぎた私も、たまには重い空気の漂う名門に誘われることがある。プレーをしても足は地に着かず、レストランのメニューを見ても、先輩と同じ物を頼んでしまう。やはり、しょせんは芸能人の端くれ、女子アナとワイワイやりながら、鼻の下を伸ばすほうが柄に合っているらしい。

しかし、そんな私でも、ゴルフのマナーだけはわきまえているつもりだ。初心者の女性に「走れ、走れ」とは言わないが、周囲に気配りをして迷惑をかけないように徹底させる。時間がかかり過ぎなら、ボールをピックアップして前進させるし、難しいライなら、打ちやすい場所にボールを動かす。「ゴルフはあるがまま」が原則だが、きちっと説明した上での特別ルールを適用するのだ。

前の組のプレーで待たされるのはよくあること。ハイシーズンの土、日にはむしろ自然の光景だろう。時として堪忍袋の緒が切れるのは、ワンホール以上前の組に離されても、のんびりやっている連中だ。特に、キャディなしのセルフでそれをやられると腹が立つ。ことを荒立てないようにマーシャルを呼ぶが、彼等にはマーシャルの存在が理解できないらしい。テレビ中継のプロをまねるかのように、四方からグリーンを読み、絶対にOKは出さない。当然、ラインが読めたところで、そこには打てず、入らない。遠くから「ナイス、パー!」と大声が聞こえれば「スコアの数え方も知らんのか」と、怒鳴りたくなる。グリーンが終わってもそこに立ち止まり、スコアを確認。カートまでのんびり歩き、丁寧にクラブの数をチェックしてから、おもむろにカートを発進させる。明らかにOBでも、ボールの行方を見ていないため、5分以上も平気でボールを探し、なければルールだからとティグラウンドまで戻ってくる。確かにルールは大切だと思う。だがどう見ても、ルールブックを読んでいるとは考えられない。

驚いたのは誤球をされたこと。前の組が折り返してすれ違った際、私のボールはややスライスして隣ホールの近くへ飛んだ。落下地点へ行ってみると、前の組の人が打とうとしている。「ボールを確認しました?」と尋ねると「ハイ、しました」と言って打ってしまった。私の目印がはっきり見えているのにだ。それってマナー以前の常識だろうが。

キャスター/小倉智昭(おぐら・ともあき)
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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