ドコモの顧客流出に歯止め 番号持ち運びはauとソフトバンクが転入超

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3月7日、携帯各社の2月契約数純増数は、NTTドコモが26万7900件増となり、2カ月ぶりに首位に返り咲いた。写真は同社のロゴ。2012年5月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 7日 ロイター] - 携帯電話大手3社が7日発表した2月の携帯電話契約数によると、新規契約から解約を差し引いた純増数で、NTTドコモ<9437.T>が26万7900件増となり、2カ月ぶりに首位に返り咲いた。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」への機種変更割引サービスや学生向けの割引サービスなどが寄与した。

1月にトップだったソフトバンクモバイルは26万6000件増で2位、KDDI<9433.T>のauは22万0500件増で3位だった。

携帯電話会社を変更しても同じ電話番号が使える「番号持ち運び制度(MNP)」を利用した転入出は、auが4万1600件の転入超となり、29カ月連続で首位となった。ソフトバンクは9000件の転入超、ドコモは4万8100件の転出超だった。

ドコモは61カ月連続でマイナスとなるが、マイナス幅は2012年8月(4万3300件の転出超)以来1年半ぶりの低水準となり、顧客流出に歯止めがかかりつつある。

卒業・入学シーズンを控えるこの時期は年間最大の商戦期となるため、各社が顧客獲得にしのぎを削っている。ただ、全体の契約数が1億3700万件超と日本の人口を上回る中で、最近では他社からの奪い合い競争が過熱。販売店の店頭では「家族3人で最大21万円」といった高額キャッシュバックのポップも目立っている。

6日都内で行われたフォーラムでは「過熱しすぎている。本来の姿ではない」(吉澤和弘NTTドコモ取締役常務執行役員経営企画部長)、「キャリアがしのぎを削りすぎている」(藤田元KDDI理事渉外・広報本部長)、「年度末で過剰になっているところはある」(徳永順二ソフトバンクモバイル常務執行役員渉外本部長)といった声が相次いだ。

携帯電話会社が3グループに集約されるなか、毎月の利用料金は割高のまま各社横並びで、「入口」の競争だけが過熱している現状に、業界では「歪んだ競争」(業界関係者)と受け止める声も少なくない。

(志田義寧 編集:山川薫)

 

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