萩生田文科相、選挙ポスターめぐる金の不可解 公費負担の仕事受けた業者が選挙時に限り献金

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公開資料などによると、2014年の選挙時、A社は萩生田氏と交わした契約に沿って、制度上限額の99.9%に当たる111万9936円を東京都選挙管理委員会に請求した。さらに、2017年には上限額の100%に当たる115万1920円を請求。選挙後にそれぞれの代金は選管からA社に支払われている。

萩生田光一氏のポスター単価を示す公文書。2017年の衆院選のもの(撮影:本間誠也)

一方、萩生田氏が代表を務める政治団体「自民党東京都第24選挙区支部」には、選挙のあった2014年と2017年に限って、A社からの政治献金があった。2014年は投票日12月14日の5日前の同9日に10万円。2017年は投票日10月22日の3日前に10万円。また、実際のポスター印刷を“下請け”したかたちのB社も2014年と2017年、投票日の前後に計20万円を同じ政党支部に寄付している。

実際にポスターを印刷しない業者が「候補者からポスター印刷を請け負った」として選管に代金を請求する、その業者が選挙とほぼ同時期に候補者側に政治献金する――。こうした行為は法に抵触しないのか。さらに言えば、このケースでは、政治献金は、外形的にはポスター印刷を受注したことの“見返り”にも見える。

総務省選挙課の担当者はこう言う。

「公選法の規定では、国または地方公共団体と請負契約を結んでいる『会社や法人』は、当該選挙に関して寄付ができません。一方、請負契約の相手が『候補者』ならば、献金先がその候補者の政治団体であっても寄付を制限する規定はありません。ただし、公選法以外にも刑法なども当然、適用されるので、そちらに違反するものなら捜査の対象になるでしょう」

萩生田氏が代表を務める政治団体の資金収支報告書。選挙の年に限って、投票日前後に印刷業者から寄付がされている(撮影:本間誠也)

印刷業者からの献金に問題は? 議員側「適正に処理」

萩生田氏のケースについて、関係資料を確認できたのは、2017年と2014年の衆院選のみである。それより前の資料は情報公開請求の対象外であり、ポスター印刷を請け負った業者名も確認できない。

ただ、政治団体の経理書類(政治資金収支報告書)を見ると、2012年の衆院選投票日の4日前にA社は10万円を、B社は社長名で計8万円を投票日前後に萩生田氏の政治団体に献金していた。

また衆院選のなかった2010、2011、2013、2015、2016、2018年については、A社とB社は共に衆院選萩生田氏の政治団体に献金したとの記載はなかった。

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