交通事故死よりも多い「ヒートショック」の恐怖 「住宅リフォーム」でできることは何か?

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ヒートショック予防策:住宅の断熱リフォーム

断熱リフォームの基本は、住宅全体の「壁・床・天井」の断熱性を上げることだ。窓の断熱性を上げたり、暖房設備を設置したりしても、壁や床、天井(小屋裏)から暖気が逃げてしまえば、効果は薄くなる。住宅全体をしっかり断熱材で覆うことが重要だ。

(左)断熱リフォームの様子。天井に新しい断熱材を充填している。壁の既存の断熱材には劣化が見られるので交換が必要(右)壁に断熱材を充填している途中。隙間なくしっかりと施工する必要がある(写真:大野光政氏提供)

ただし、大掛かりな工事になるため、工期や費用もそれなりにかかる。大野さんによると、延床面積100㎡、2階建ての都市部で標準的な一戸建てを断熱リフォームした場合、水回り(浴室、洗面室、トイレなど)の交換と合わせて、工期は3週間~1カ月、費用は700万~900万円が目安(住みながらリフォームした場合)だという。

ほかのリフォームも併せて行う

そのため、断熱リフォームだけでなく、耐震リフォームやバリアフリーリフォームと同時に行うのが効率的だという。

そこまで費用はかけられないという場合、水回りや居室の一部を諦めて、リビングダイニングだけは壁・床・天井の断熱リフォームをするという選択肢も考えられる。それであれば費用はかなり抑えられ、12畳の広さなら60万~100万円程度でも一定の断熱リフォームが可能ということだ。

断熱リフォームを実際に検討する場合、まずは「今、寒さをどこで強く感じているか」を洗い出すことが大切だ。窓際が寒いのか、浴室や脱衣室が寒いのか、寝室で起床時に感じるのか、部屋を移動するたびに感じるのか。それを防ぐにはどこを断熱したらよいのかで、断熱リフォームの内容を決める必要がある。

大野さんによれば、それぞれのリフォーム事業者で得意とする工事があるので、自分の得意な工事を提案しがちだという。どこの断熱性を上げたいのかは、しっかり要望すべきだ。

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