「生理前の不調」に苦しめられる女性の実情 PMSやPMDDの治療は「婦人科」だけでは難しい

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それを見た医師は、いくつかの質問をしてから、「おそらくPMDDだと思われますが、残念ながらPMDDは婦人科では治療できないので、精神科か心療内科に行ってください」と言い、冒頭の冊子を渡した。

「生理に関係する症状なのに、婦人科で治療できないの?」と内心さじを投げられたような絶望感の中で冊子をめくると、以下のようなチェックシートがあった。

PMDD ~月経開始前1週間について~】
□うつ気分や落ち込みがひどい
□不安、緊張感、どうにもならない、がけっぷちなどの感情がある
□拒絶や批判に対する感受性が高くなったり、情緒的に不安定だったり、予測できなかったりする
□イライラしたり、怒りっぽくなる
○趣味や日常活動に興味が薄れている
○物事に対する集中力が薄れている
○いつもより疲れているし、活動性が低い
○炭水化物を偏って摂食したり、同じものを食べ続けたりする
○睡眠過多だったり、睡眠不足だったりする
○限界感、自己喪失感がある
●月経前に以下の少なくとも2つの症状のために悩まされる
( )乳房痛・張った感じ ( )頭痛 ( )関節痛または筋肉痛 
( )ふわふわした感じ ( )体重増加
〈以下の4つすべてにチェックが入った場合はPMDDの可能性がありますので、医師に相談してみましょう〉
・□の4項目のうち、少なくとも1つに当てはまる
・□と○にチェックが入った項目の合計が、5つ以上になる
・□と○にチェックが入った項目の大部分は、月経開始後3日以内で消失する
・●の症状があるとき、日常の活動が障害される

私は愕然とした。

今回の症状は、□の4つの項目すべてに当てはまるうえ、当てはまる項目の合計が5つ以上になる。

PMDDもかすかに想定してはいたが、どこかで否定している自分がおり、正直面食らってしまった。

PMS・PMDDの治療

私はその日のうちに心療内科を予約した。心療内科の医師は、簡単なカウンセリングをおこなった後、薬物療法を提案。SNRIと呼ばれるセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬と抗不安薬を処方された。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI:Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)は、抗うつ薬の一種で、セロトニンとノルアドレナリンの再吸収に作用するため、気力や意欲の低下に効果が期待でき、うつ症状や病気としての不安の改善を目指す薬だ。

社会生活上QOLへの影響が軽ければ、EP配合剤などのホルモン剤や鎮痛剤、安定剤や漢方薬などで対応するらしいが、私の場合は漢方では効かなかった経験があり、すでにPMDDと診断されているため、中等症以上の患者に対応する治療法を選択されたようだ。

次ページPMS・PMDDに適応のあるEP配合剤はない
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