「早慶MARCH」30年前ではありえなかった下克上 もはや超難関大学と化したMARCH「本当の序列」

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この2~3年、MARCHのような有力私立大学の偏差値が上昇しているのは、文部科学省が打ち出した入学定員の厳格化によるところが大きい。文科省が各大学に学部定員数を厳格に守るよう指示したことで、各大学とも定員を上回らないように合格者を絞り込んでいる。

さらに大学入試改革も影響している。試験方法が変わる前に受かりたいと考える受験生が急増。「現役志向が強まり、早慶志望組もMARCHを積極的に受ける」と代々木ゼミナールの川崎武司・教育情報企画室長は指摘する。

記念受験という言葉はもはや死語に近い

川崎氏によると、かつてのように「早稲田、慶応に絶対に進学したいので、早慶の複数学部を受ける」という「大学名第1志望」は減っているという。「今の受験生は進みたい学部を決めたうえでチャレンジ校、実力相応校、滑り止め校と分けて受ける。MARCHの学力レベル層は、早慶上智(早稲田、慶応、上智の各大学)がチャレンジ校、日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修の各大学)が滑り止め校となる」と分析する。各大学の難化で現役志向、安全志向が強まり、「今の受験界では記念受験という言葉はもう死語に近い」(川崎氏)という状況だ。

有力私立大学の入試偏差値の上昇は以前から指摘されているところだが、MARCHはもはや超難関大学といってもよい。

MARCH内の序列変化は、早慶に対するMARCHの下克上をも意味する。

(出所)『週刊東洋経済』12月21日号 特集「早慶を猛追! MARCH大解剖」

文理問わず偏差値でMARCHを総じて上回る早慶だが、MARCHの偏差値上昇に伴い、MARCH以下という文系学部も。例えば立教の異文化コミュニケーション学部(75)や経営学部(74)、明治の法学部(74)、中央の法学部(74)と、同レベルなのが早稲田の教育(74)だ。さらに早稲田の人間科学部(72)やスポーツ科学部(70)などは、MARCH各学部を下回る。所沢キャンパス(埼玉県所沢市)にある人間科学、スポーツ科学は「MARCHクラスの受験生でも受かりやすい学部」(予備校)になっている。

ただし最難関学部で見ると、慶応大学では法学部(法律学科)が82、早稲田大学は法学部、政治経済学部、商学部、国際教養学部が80と、早慶ともMARCH最難関である立教の異文化コミュニケーション学部(75)を引き離している。

MARCHのうち複数校に受かった場合、どの大学を進学先として選ぶのか……。ダブル合格した受験生の実際の進学先を示したのが次ページの図だ(以下、東進ハイスクールのデータ、外部配信先では図を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

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