中国、元安誘導は裏目に出る恐れも

突如、元安誘導に乗り出した中国人民銀行

2月26日、中国人民銀行(中央銀行)が唐突に元安誘導に乗り出し、投機筋の間に衝撃が走っている。北京で2011年3月撮影(2014年 ロイター/Jason Lee)

[上海/北京 26日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が唐突に元安誘導に乗り出し、投機筋の間に衝撃が走っている。

一方的な元高をけん制することが狙いとの見方が出ているが、市場関係者は、人為的に元安リスクを発生させても真の自由化にはつながらず、投機筋が割安感から再び元買いポジションを膨らませる可能性があると分析。市場原理の導入に向けた大胆な改革が必要と指摘している。

元安誘導をめぐっては、元の変動幅拡大に備えた動きとの観測も出ているが、中国への資金流入は続いており、変動幅を拡大した場合、一段の元高を抑制できるのか、という疑問の声もある。

人民元のスポットレートは1月13日以降、1.5%以上急落。下落率はギリシャ債務危機以降で最大となった。

元急落は、人民銀行が基準値を連日、元安方向に設定していることが背景。市場関係者によると、大手国有銀行も中銀の要請で元を売っている。

政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの王軍シニアエコノミストはロイターに「人民銀行としては、これ以上一方的な元高が進まないことを市場に理解させ、他の主要国通貨のように元を上下に変動する体制を整える必要がある」との見方を示した。

中国国家外為管理局(SAFE)は26日午後、元急落について、市場参加者がロングポジションを圧縮しているためで、「正常」な動きだと表明したが、市場では、国有銀行の大量のドル買いで取引参加者がロングポジションの圧縮を迫られたとの見方が多い。

人民元は比較的低リスクで、利回りも高いことから、2005年の切り上げ以降、対ドルで35%以上上昇。ギリシャ債務危機で一時的に値下がりしたものの、その後は一貫して上昇基調をたどってきた。

投機筋も、元高の進行は不可避とみて、ロングポジションを大きく積み上げていた。

SAFEのデータによると、投機資金の流入ペースは、昨年第4・四半期から今年1月にかけて勢いを増していたとみられる。

市場では、このところの元急落にもかかわらず、今年も2─3%のペースで元高が進むとの見方が根強い。

<経済上のメリット少なく>

エコノミストによると、元安を誘導しても経済上のメリットはあまりない。輸出競争力は増すが、輸出業者の最大の悩みは、賃金・原材料費・賃料の急激な上昇で、元安だけでは輸出支援策にはならない。

調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、チェン・ロン、アーサー・クローバー両氏は元安誘導について、投機筋に「元高の時代は終わった」と思わせてパニックを引き起こし、ロングポジションを圧縮させることが短期的な狙いだと分析。

「一部の市場関係者は、景気減速や新興国市場の混乱を受け、政府が通貨安で輸出競争力を強化する方針に転換したと解釈しているが、われわれはそうは思わない」と述べた。

<変動幅の拡大でも、本格的な元の変動リスク生じず>

変動幅の拡大については、人民元改革の前向きな一歩になるとの見方が多いが、変動幅を拡大しても、人民銀行や国有銀行が介入を続ける限り、本格的な元の変動リスクは生じない。

人民銀行は2012年4月に元の変動幅を上下0.5%から同1%に拡大したが、その後も、基準値の設定を通じて元高を抑制し、スポットレートを狭いレンジ内で推移させてきた。

このため、市場関係者は基準値付近での取引を見送り、人民銀行が元高容認を迫られるのを待つという戦略をとってきた。この戦略はつい最近まで一貫して利益を上げていた。

香港の欧州系銀行の為替トレーディング責任者は「人民銀行は為替市場にもっとボラティリティーを注入したいのだろう。それには変動幅の拡大が最も簡単だという合意ができつつあるようだ」と指摘。

「ただ、市場が長期的な元高を予想しているのであれば、変動幅の拡大だけではとても不十分だ。もっと市場原理に基づく為替レートが必要だ」と述べた。

(Pete Sweeney and Kevin Yao記者:翻訳 深滝壱哉 編集 山川薫)

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