モノレールと新交通システムはLRTに勝てるか ゆいレール延伸、上野のモノレールは休止

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ゆいレールの首里―てだこ浦西間4.1kmの事業費は約350億円で、1kmあたり約85億円となる。これに対し、現在、建設中の「宇都宮ライトレール(LRT)」は14.6kmを新規に建設するのに対し、事業費は約458億円。1kmあたり約31億円で済む。

大型LRVの一例である広島電鉄5100形。定員は約150人にも及ぶ(筆者撮影)

LRT(Light Rail Transit)とは、日本ではよく「次世代型路面電車」とも呼ばれる。停留所にて段差なしで乗れる超低床式電車(LRV:Light Rail Vehicle)の導入など、従来の路面電車を改良した「軽鉄道システム」であり、やはり、一般の鉄道とバスの間を埋める中量交通機関と位置づけられる。

では、どのぐらい輸送力があるかと言えば、例えば広島電鉄で導入が進められている5車体から成る大型LRVでは、1編成あたり法定上の定員は149人(5100形の場合)となっている。

これに対し、ゆいレールの1000形電車は2両編成の定員が165人。それほどの差はない。AGTでは、日暮里・舎人ライナー320形の5両編成で262人などが例だ。

モノレールの時代は終わったのか?

もっともモノレールの場合、東京モノレール10000形のように6両編成で定員600人という輸送力をつけることも可能であるから、一概にLRTと同等とは言えないが、需要がそれほど大きくないルートに導入するには不利がある。

大都市と言えども、人口減少が見込まれ、公共交通機関も右肩上がりの利用客数が見込めなくなると、事業費に対して効率がさほど良くないモノレールや新交通システムを推す声が小さくなるのも当然だろう。

代わって、既存の路面電車の改良で整備することも可能で、新路線の建設費用も安くつき、かつ歩道から段差なく乗り込めるバリアフリーなLRTが着目されるのも、自然な流れと言える。

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