『金融危機後の世界』を書いたジャック・アタリ氏(経済学者・思想家・作家)に聞く

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 人口減少には、三つの対応策がある。一つは仕方がないと受け入れる。人口が適正規模になると考える。二つ目は、出生率を上げる政策を取る。フランスも1920年代に人口減少があった。それ以来、子どもを生み育てる政策を充実させた。家族政策でいえば、たとえば出産は無料にする。出産休暇や出産後に職場に戻れるような体制をきちんとつくっておく。子どもが生まれたら解雇されるようでは、とても出生率は上がりっこない。

第三は国境を開く。アメリカも、移民の導入政策を整えていなければ人口は増えていない。この「国境の開放」は避けて通れない大事なことだ。もう一つ、ロボットでもって労働力を代替するというのも番外で可能性はある。韓国と日本は人口減少の問題を抱えつつも、ロボット工学の進んだ国。もっとも、人間をロボットで替えていいのかという問題はある。

--鳩山首相は温室効果ガスの25%削減を提唱していますが。

これは人類が生き残れるかどうかにかかわる。日本は海岸線が長く、この問題を一番理解できる国のはず。
 
(東京日仏学院と早稲田大学での会見・講演を基に構成)

Jacques Attali
1943年アルジェリア生まれのフランス人。仏国立行政学院(ENA)卒業。ミッテラン政権の大統領特別補佐官、欧州復興開発銀行初代総裁、サルコジ大統領の諮問委員会委員長など歴任。NGOプラネット・ファイナンスを創設し、マイクロファイナンスに注力。単著だけで45冊を執筆。


作品社 2310円

  

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