ビル・ゲイツという男はここまで徹底している Netflixのオリジナル番組にその執念を見た

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ビル・ゲイツは、とにかく本を読む。

膨大な資料をインプットして、論理的に分析する。その連続だ。この冒頭でもびっくりさせられる。デイビス・グッゲンハイムが訪ねていったとき、ビル・ゲイツはミネソタ州の予算を読んでいた。ほかにも37の予算資料があったという驚きだ。L.L.Beanのトートバッグに山のように書籍を詰めて仕事場に向かう姿が印象的だ。

そのほかにもビル・ゲイツには驚かされることが山のようにある。あるプロジェクトの協力を得るために自ら大学にメールをすることである。しかも返答が得られないこともあるというから驚きだ。天下のビル・ゲイツのメールに返答をしない人がいるものだとびっくりする。

番組の中でビル・ゲイツはこんなことを述べた。

「革新的なビジネスだけがボクが何が何でもやりたいって思うものではないんだ。リーダーシップやビジョンがなければ実現しないことをあえてやる。そのリスクのレベルを上げてみたい」と。

世界有数の金持ちもリスクをさらに上げながら前進していることがわかる。そして今ある資金も決して潤沢ではなく不十分であることを述べている。

ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズは似ている

この番組を見ながらある映画を思い出した。2017年公開の『ボルグ/マッケンロー氷の男と炎の男』(原題/Borg McEnroe)である。

テニスの貴公子でアイスマンと呼ばれたビョルン・ボルグと、つねに汚い暴言を吐きテニスラケットを地面に叩きつける、嫌われ者のジョン・マッケンローを描いた映画だ。

伝説の1980年のウィンブルドンのセンターコートでの死闘を克明に映像化している。これを観るまで筆者は知らなかったが実は、ボルグも気が短くマッケンローと同じなのだと。最近フェデラーの書籍を読んでいるが、彼も以前は非常に気が短かった。そう、ボルグとマッケンローは似た者同士なのだ。

そして、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも似ているのではないかと思うようになってきた。気が短く、なにかに没頭したら止めることができない。若い頃の話だが部下に汚い言葉を使うのも似ていると思う。

現在、ビル・ゲイツは63歳。スティーブ・ジョブズも同じ1955年生まれなので生きていれば当然のことながら同じ年齢だ。

生きていたら、このドキュメンタリーの中で対談が生まれていたのかもしれない。ジョブズの意志を継いだAppleも、環境問題には敏感で、使用電気のほとんどは再生可能電力だ。本社は100%。店舗なども同様だ。2016年には事業活動に用いる電力を100%再生エネルギーで賄う「RE100」にも参加を表明している。

番組を見ながら、放送作家という立場から思うことがあった。

この構成はどうやって考えたのかということだ。日本の番組の構成は丁寧というか、特殊だということを実感する。

次ページ真剣に見なければ理解ができなくなる感じだ
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