新型インフルで火がついた予測式体温計 インフルエンザ関連商品の高付加価値化が進む

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ドラッグストア大手のマツモトキヨシによると、同社で販売した体温計に占める予測式のシェアは08年の64%から12年には75%まで拡大した。「実測式が平均1000円以下なのに対し、予測式は1800円程度」(オムロンヘルスケア国内営業本部の遠藤誉之氏)。倍近い価格の高付加価値品の比率が高まり、平均単価が押し上げられた。

もちろん、予測式の需要拡大の裏には、商品性能の向上もあった。従来の予測式体温計は計測に30~90秒もかかっていた。ところが、10年にテルモが計測時間20秒のモデルを発売。その後、オムロンの新商品が計測時間15秒とさらに短縮した。国内メーカーの開発競争が予測式の普及に拍車をかけた。

体温計そのものへの関心が高まったことで、さらに高機能な商品も売れ始めている。その一例が婦人用体温計だ。最近ではスマートフォンやPCと連動してデータを管理できるタイプなどが売れ行き好調。「基礎体温などの記録用に、3000円以上の高価格品を購買する女性が増えている」(マツモトキヨシ渋谷パートⅡ店の漁直規店長)。

新型コロナウイルスなど、世界では新手の病気が次々と流行している。新病をきっかけとした関連商品の高付加価値化は今後も進みそうだ。

週刊東洋経済2014年2月15日号〈2月10日発売〉)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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