駅伝に学ぶ、最終的に勝つための“継走術”

「駅伝力」を仕事に生かせ!

チームの勝利のために、個人は何をなすべきか?(先頭はレース最後で先頭に立ち、全国高校駅伝で初優勝した山梨学院付属の西山零。写真:日刊スポーツ/アフロ)

駅伝は日本特有のスポーツ文化だ。箱根駅伝の人気を挙げるまでもなく、日本人なら「駅伝」という競技を誰もが知っている。そして、何らかの駅伝レースに参加したことがあるという人も少なくないだろう。

筆者は中学から大学まで、けっこうマジメに駅伝をやってきて、社会人となった今でも、楽しく駅伝を続けている。現在はスポーツライターとして、メジャー駅伝を熱心に取材しているが、「駅伝」には“仕事力”を高めるヒントが実に多いと感じる。

競技への意識が低かった中学時代は、具体的な戦略は何もなかった。タスキをもらったら、ひたすら頑張って、次の走者にタスキを渡すだけ。高校生になって少しは成長して、いかに自分が速く走るか、そういうことを考えるようになった。そして大学時代に、駅伝は「1+1=2」という公式が当てはまらない競技であることを知ったのだ。

「1+1」を2以上にできるのが駅伝

たとえば、AとBという、実力はほぼ互角のランナーがいたとする。両選手が同じ区間を走ったとすれば、同じようなタイムになる計算だが、実際は大きなタイム差がつくことがある。東洋大学が圧勝した正月の箱根駅伝でも、その“差”が明確となった。往路(1~5区)終了時で東洋大学と2位駒澤大学との差は59秒もあり、最終的には4分34秒という大差がついたのだ。

両チームの復路(6~10区)の戦力を具体的に比較すると、6区と7区はほぼ互角、8区は東洋大がやや優位、9区は駒大が絶対優位、10区は東洋大がやや優位という状況だった。しかし、東洋大が6区で駒大から18秒のリードを奪うことに成功。レースの流れを一気に傾けたのだ。

東洋大の背中を肉眼でとらえることができなくなった駒大は、「追いつかなきゃ」という焦りが、レースプランの乱れを生み、パフォーマンスの妨げになった。反対に首位を悠々と走った東洋大は後続を気にするのではなく、自らの走りに集中できた。トップを走るという“余裕度”が実力以上の力を引き出し、「1+1」を2以上にして、駒大に大きな差をつけたのだ。

東洋大と駒大のタイム差は、一言で言うと、置かれた「状況の違い」だ。もしこれがビジネスの世界だったらどうだろう。ほぼ同じ商品・サービスであったとしても、職場の雰囲気の違いで、収益に大きな差がつくことにもなるだろう。駅伝で単純な足し算以上のベストを発揮する力である「駅伝力」を養うことが、ビジネスの場面でも好結果をもたらすはずだ。

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