「ディープインパクト」が日本競馬に残した衝撃 17歳で急逝、時代を駆け抜けた最強馬の足跡

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キズナやディープブリランテ、リアルインパクトなど後継種牡馬が続々と現れ、産駒が活躍している。国内だけでなく世界でも後継種牡馬が誕生している。ただ、社台スタリオンステーションにとってディープインパクトが急死し、キングカメハメハが種牡馬を引退し両輪を一度に失ったことは大きなダメージだろう。ポスト・ディープインパクトの争いも激化する。

日本の高速馬場に最もマッチした2頭の大種牡馬が不在となって、注目されるのはロードカナロアだろうか。これからディープインパクト産駒の決定的後継種牡馬が現れるのか。ディープインパクトが生まれたのがサンデーサイレンスが亡くなった年だった。

ディープインパクト産駒のダービー馬ロジャーバローズが右前浅屈腱炎を発症し8月6日に電撃引退を発表したのも後継種牡馬としての価値を意識してのことだろう。その中で凱旋門賞に出走を予定するディープインパクト産駒のフィエールマンが偉業を達成して後継種牡馬の本命に名乗りを上げるのか。今年の凱旋門賞はその面では例年以上に注目だろう。

ディープが牽引、ディアドラ快挙で結実

ディープインパクトの急死で沈んでいた競馬界に海外から朗報が飛び込んだ。8月1日にイギリス・グッドウッド競馬場で行われた牝馬限定GⅠのナッソーS(1980m芝・9頭)でオイシン・マーフィー騎手が騎乗したディアドラ(牝5、栗東・橋田満厩舎)が内から鋭く伸びて差し切り2分2秒93のタイムで日本調教牝馬として初めてイギリスのGⅠを制した。

日本調教馬のイギリスGⅠ制覇は2000年ジュライCのアグネスワールド以来19年ぶり2頭目。日本調教牝馬の欧州GⅠ制覇は1998年のフランスGⅠモーリスドゲスト賞のシーキングザパール以来21年ぶり2頭目。日本産の牝馬の欧州GⅠ制覇は初めて。海外GⅠを転戦しながら、欧州のGⅠ馬を破る大金星を挙げた。

サンデーサイレンス、ディープインパクトが牽引しレベルアップしてきた日本競馬の層の厚さを証明する結果となった。日本の競馬は進化した。その象徴がディープインパクトだった。レベルアップした日本からまたディープインパクトのような馬が出現すると信じている。

高橋 利明 福島民報 記者

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たかはし としあき / Toshiaki Takahashi

1965年生まれ。子どもの頃から地元の福島競馬場に通う。1989年に成蹊大学卒業。入社2年目の1990年に念願の福島民報社競馬担当記者へ。1993年から本紙予想を担当。福島テレビ、ラジオ福島の競馬中継にも出演。永遠のアイドルホースはハイセイコー。競馬の現場記者であり続けることが目標。
 

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