サマーランドを悩ませ続ける深刻な経営問題 15年間で11回の赤字計上、今後どうなるのか
11月下旬の祝日、都内から電車とバスを乗り継いで1時間余りのあきる野市にある東京サマーランドを訪れた。屋内プール「コバルトビーチ」は家族連れ客でにぎわっており、8月下旬に起きた傷害事件の影響はさほど見られない。
屋内プールは賑わっていたが、営業中の遊園地はやや閑散としていた。隣接する屋外プールは9月末で営業を休止。年内の営業は11月29日(火)までで、例年通り、メンテナンス休止を経て2017年3月3日から営業を再開する予定だ。
あまり知られていないが、サマーランドは大井競馬場の家主である東京都競馬の子会社だ。東京都競馬の筆頭株主は東京都で、株式の27.7%を保有する。東京都競馬は、東証上場企業である。
夏場も赤字転落
その東京都競馬が10月31日に発表した2016年1~9月期決算において、サマーランドの業績はさんざんなものだった。ほぼサマーランドだけで構成されている遊園地事業は売上高24.8億円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益は0.3億円の赤字(前年同期は2.15億円の黒字)、入園者数は72万人と、昨年より3万人減った。
会社側によれば、8月下旬の入場者数は1日4000〜5000人。女性9人が次々と切りつけられた傷害事件を受け、安全対策の拡充のために4日、ほかに台風の影響で1日休園したことが来園者減につながり、収益が悪化したという。
だが、問題はこの3カ月間にとどまらない。
東京都競馬の決算書によれば、判明するだけでも遊園地事業は2001年から2015年までの過去15年間で11回の赤字を計上、累計で約13億円の赤字を垂れ流している。
書き入れ時の夏場に起きた傷害事件の影響で、今2016年12月期の赤字転落は確実。会社側は遊園地事業の収益見通しを明らかにしていないが、数億円の赤字となる可能性が高い。なぜ不振なのか。
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