アベノミクスに致命的な欠陥あり 収益快進撃・JCUの粕谷佳允会長に聞く
――かねて自社のホームページで「安倍首相の成長戦略に疑義あり」とおっしゃっています。
安倍首相の成長戦略は抽象的で具体性がない。これでは国民や企業は動けない。安倍さんに致命的に欠けているのは製造業への理解です。今、日本経済が停滞しているのは、パナソニックやシャープなどエレクトロニクス産業が元気を喪失し没落したからです。弱電のみならず、東芝、日立、三菱の重電も往年の勢いがない。製造業の中核が弱っているのです。国内の投資と雇用を増やし、日本を復活させようと思うなら、まず弱った製造業を復活させねばならない。
ところが、産業競争力会議のメンバーに新浪(剛史・ローソン社長)さんや三木谷(浩史・楽天社長)さんを選んだ。このことに象徴されるように、安倍さんの関心はどうやら三次産業のサービス・流通業に向いている。TPPへの参加を決めてからは農業の方にも気持ちが傾いた。しかし、安倍さんが真剣に考えなければならないのは、製造業の復活です。そこに頭が行っていない。
原発輸出は無責任
――とは言え、安倍首相は原発輸出などに熱心に取り組んでいます。
だから、製造業が分かっていない、と言うんです。東芝、日立、三菱の重電3社で原発を設計できるエンジニアはそれぞれ500人程度でしょう。周辺を含めてもやっと2000人くらい。東大でさえ原子力工学科をなくしてしまった。日本はこれから国内で廃炉に着手しなければならないというのに、その技術者さえ十分いない。そんな状態で原発を輸出してどうするんですか。売ったはいいが、現地で技術を教える人も、メンテする人もいない。まさに売りっぱなし。こんな無責任な話はない。
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