「やることが多すぎる上司」が結局ダメなワケ 「心配すぎて任せられない」ではダメ

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会社のリスクマネジメントは強化され、ダイバーシティー体制への移行は不可避になっています。当然、提出物も増えていますし、報告の頻度も増えているはずです。つまり、頑張るだけでは乗り越えられなくなってきているのが、現状なのです。

もちろん、部下の話をしっかりと聞きたいと誰もが思うもの。でも、部下の話を聞くと、困ったことに自分の時間がなくなるのが現実です。そうなると、残業で対応することになるわけですが、残業規制が厳しくなる中、そうもいかないのが現実でしょう。部下と話す時間がとれなくて当たり前なのです。

部下や同僚に任せられないのは…

ただ、「力の入れどころ」を変える必要はあります。実は、かつて私もこの問題について悩んだ1人ですが、「力の入れどころ」が違っていたことに気がつけば、解決の糸口が見えてきます。「いかに速くやるか」ではなく、「いかに任せていくか」を考えるしか方法はないのです。 

例えば、日々の売り上げの確認。これを“あなたの参謀”に任せられないでしょうか? 日々の進捗チェックもそうです。“その係”の人に任せられないでしょうか? 新人の教育も、“他の部署の人”もしくは“部下”に任せられないでしょうか? そうやって、手分けをして任せていくしかないのです。

でも、こう思う人もいるかもしれません。「任せられた人も負担になるのでは……」と。実は、これがそうではないのです。私が研修で耳にする部下の不満を紹介します。「もっと、信頼して任せてほしい」「チームでできることはあると思うのに」――。つまり、もっと部下や仲間を頼ってもいい、ということなのです。

もし今、あなたが部下や同僚に仕事を任せていないとするなら、あなたはきっとプレイングリーダーであり、部下よりもその仕事に精通しているのではないでしょうか? また、部下の仕事のクオリティーを見て、自分と比較すると決して満足できるレベルではない、とも考えているのではないでしょうか?

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