原発事故処理に対する国の関与が不十分だ

塩崎恭久・政調会長代理に聞く

政府は12月20日に発表した「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」という指針の中で、福島第一原発事故に伴う損害賠償、除染・中間貯蔵施設費用に対する国と東京電力との負担の枠組みを大きく変えた。
賠償は引き続き東電の負担とする一方、実施済み・計画済みの除染費用(約2.5兆円)は、原子力損害賠償支援機構(国が5割出資、債務保証)が保有する東電株式の売却益を充てるとともに、中間貯蔵施設の建設・管理運営費用(約1.1兆円)については、電気料金を原資とする電源開発促進税を投入するとしている。
今回の枠組みは、東電の株主や金融機関の負担に踏み込まないまま、公的資金によって東電を救済するものといえるが、自民党の政策責任者はどう考えているのか。塩崎恭久・政調会長代理に聞いた。

 

――政府が今回の指針で示した国と東京電力の新たな責任分担をどう考えるか。

 これまでも、政府は本来真っ先に責任をとるべき東電の経営者や株主、金融機関など債権者の責任について不明確、中途半端にしたまま国民負担(東電への無利子融資や機構を通じた1兆円出資など)を決めてきた。今回の対応についても、それは変わっていない。

 国が関与することは当然だと思うが、責任は明確にすべきだ。福島の事故は天災ではなく人災だった。人災という意味では国の監督責任もある。その責任を果たすために、国民が税金として払うことはある程度仕方がない。しかし、事業者(東電)の責任、すなわち経営者や株主、債権者の責任をまず明らかにすることが大事だ。

 私案として提案しているのは、東電を分社化したうえでの責任明確化だ。東電を事故処理会社である「廃炉先端技術推進機構」と電力供給と賠償を行う「新生東電」に分社化する。分社化に際して、事前に国、株主、債権者などで債権調整を行い、旧東電の株主も(会社分割の一種である)人的分割により持ち株比率に応じて2社の株式を保有する。事故処理会社は法的整理を行い、いったんケジメをつける。そうして国民負担を軽くする。

「難しいから、できない」では完結しない

事故処理会社は法的処理の後、国が過半数の株主となり、新生東電も新たに出資する。そうすることで東電はあくまで事故処理に責任を負い続ける。同時に、複雑骨折してしまった事故を処理し、新しい技術を生み出しながら福島にとっても世界にとっても安全な廃炉を推進するために、世界の英知を集める。

福島の現場担当技術者は引き続きこの会社で作業する。技術開発などに対する報酬インセンティブも与え、士気の高い技術者、世界最高水準の新技術を生み出せる環境を作るべき。今回の政府の指針(廃炉・事故処理は東電の社内分社化で対応)では、事故処理に対する国の関与が不十分だ。

 一方、新生東電は、再生エネルギーを中心に電力の安定供給という公共的責任を果たしていく。原子力発電所は売却し、将来的には発送電分離も行う。

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