年間1000億円も電気料金へ不当に上乗せか

再生可能エネルギー賦課金を巡る不可解

太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を加速するため、2012年7月に導入された固定価格買取制度(フィードインタリフ、通称FIT)。再エネで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度だ。電力会社が買い取る費用は、「賦課金」という形で電気料金に上乗せして集められており、今はまだコストの高い再生エネの導入を電気利用者全体(家計や企業)で支えている形だ。

賦課金の総額は2012年度が1302億円で、2013年度が3133億円。これが利用者から電力使用量に応じて回収され、電力会社の買い取り資金として交付されている。しかし、この賦課金は買い取り費用の実態と比べ、過大に徴収されている疑いがある。しかも、その差額は13年度の1年間だけで数百億円から1000億円超に上ると見られ、現状を放置すればこの先も年々大きく膨らんでいく可能性が高い。

回避可能費用を過小に見積もり?

問題は、賦課金の計算方法にある。毎年の賦課金は、「再エネで発電された電気の買い取り費用見込み額」と「制度運用の事務費用」から「回避可能費用の見込み額」を差し引いて計算される。回避可能費用とは、電力会社が再エネの電気を買い取る分、自社で発電せずに済むため、それによって削減(回避)できる燃料費などの発電費用をいう。

経済産業省の計算に基づく13年度の買い取り費用見込み額は4800億円、事務費用は3億円で、回避可能費用の見込み額は1670億円。差額の3133億円が賦課金とされた。買い取り費用については、毎年定められる買い取り単価と予想買い取り量から導き出される。一方、回避可能費用については、電力会社が有するすべての電源のキロワット時当たり平均運転単価を、再エネ電力の買い取り量に掛け合わせて計算している。しかし、回避可能費用を計算するベースとして全電源の運転単価の平均値を使うのは、妥当性にはなはだ疑問がある。

なぜなら、電力会社が再エネ電力の買い取り分だけ自社の発電量を削減する際、最も運転単価の高い電源から優先的に削減するのが経済合理的だからだ。

つまり、運転単価の安い水力(東京電力の12~14年度のキロワット時当たり単価見込みは0.02円)や原子力(同2.31円)を停めずに、最も単価の高い石油火力(同15.95円)やガス火力(同10.72円)を減らしたほうが経費削減につながるわけで、電力会社の電源運用もそういう考え方で行われるはずだ。

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