原発事故処理に対する国の関与が不十分だ 塩崎恭久・政調会長代理に聞く

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――債権調整はどのように行うのか。

 そこは難しいが、関係者同士で話し合う必要がある。「難しいから、できません」と言っていて人災が完結するのか。私はしないと思う。

――私案ではなく、自民党案として出せないのか

 今後どうするかはわからない。経済産業省は今回違う案を出した。(その前に)私は経産省の資源エネルギー庁に私案を渡したが、乗ってこない。

ただ、経産省は今回の指針を実行するに当たって(原賠機構法の)法律改正をしてくる。それは必ず私の目の前を通るわけで、その時には通らないかもしれないとは言ってある。今のままでは東電の負担が軽くなり、その分、国民が払う。それでは国民が納得できないのではないか。

なぜ東電の関係者が無傷のまま、税金や電気料金に負担が回るのか。東電の株式を売却した利益を除染に充てるというが、本来、売却益は国民に戻されるべきものだ。

 原発の集中リスクは解消すべき

――経産省が最近まとめたエネルギー基本計画案では、原子力について「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、「必要とされる規模を確保する」とする一方、原発依存度は「可能な限り低減させる」としている。結局、どこまで低減させるのかがわからない。自民党としての考えは。

 いろいろな意見があり、まだ集約できていない。はっきりしているのは、原発依存度を下げ、再生可能エネルギーの比率を上げていくことだ。原発はある程度残すということも、政権として出してきた。今後も大いに議論すべきことだ。

――原子力に対する個人的な考え方は。

 原子力についてはかなり大胆に削減をすべきだが、技術を維持できるだけのものは残す。安全保障上の観点からも、いますぐ原発ゼロにするという無責任なことはできない。

 柏崎刈羽原発に7基もあるのは異常だ。あの広大な米国でも1原発に最大3基しかない。福島にはそう離れていない第1原発と第2原発に合わせて10基もある。これは異常なリスク集中といえる。

柏崎刈羽は3基にして、残りは廃炉にする。福島は地元の意思を考え、できるだけ早くゼロ(全基廃炉)にする。福井県(もんじゅやふげんを含め15基が集中)も多すぎる。大きく削減していくべきだ。

(撮影:尾形文繁)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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