そろばんが「数字に強くなる」最適な手段のワケ 右脳トレーニングを目的にしている国もある

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数字は世界の共通言語です。ドイツでの体験がそれを教えてくれました。2014年、ドイツで開催された「Mental Calculation World Cup 2014」(世界ジュニア暗算大会)を見学したときのことです。大会には主催国であるドイツのほか、インド、UAE(アラブ首長国連邦)、レバノン、ペルー、日本などから集まった7~17歳の55人の子どもたちが参加していました。各国のそろばん教室で暗算力を磨いてきた子どもたちもたくさんいました。

プログラムの一貫として用意された特別授業では、言語や年齢によっていくつかのクラスに分けられ、方程式やルート計算、素因数分解など、子どもたちにはハイレベルに思えるような内容を学びました。

数字は世界共通言語

子どもたちは間違いを恐れず、好奇心から次々と難しい問題をリクエストします。初めての問題でもどのように解いたら解きやすいか、速く解けるかを自分の頭で考えて答えを出しています。

「問題は1つでも、解き方はいくつもある」と学ぶこともあったでしょう。例えば「45の2乗」という問題を暗算するときには、45×45、9×5×9×5、(50-5)×(50-5)……といったように、いくつもの解き方が考えられます。

子どもたちがリクエストする問題の中で、ルート計算やカレンダー計算は特に人気がありました。「2000年4月1日は何曜日?」「土曜日!」と、1秒も経たないうちに子どもたちが立ち上がって興奮気味に回答します。子どもたちは夢中になって、全身で計算を楽しんでいました。

後半になると、親も先生もみんな参加して、授業はますますヒートアップ。国も文化もまったく違う子どもたちが、数字を通じてコミュニケーションしている光景がそこにありました。

そろばんや暗算に限らず、成功体験は子どもの自信になります。その自信は積極性につながり、コミュニケーション能力を向上させます。さらに、数字という世界の共通言語に通じれば、子どもの世界は国や文化を超えて広がっていきます。

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