なぜマクロミルはファンドに買われるのか

創業者の杉本哲哉・会長兼社長が語る

すぎもと・てつや●1967年生まれ。92年早稲田大学社会科学部卒業後、リクルート入社。2001年マクロミルを設立し、代表取締役社長に就任。05年代表取締役会長、06年取締役ファウンダーを務めた後、09年に代表取締役会長兼社長に復帰
インターネットリサーチ大手として知られるマクロミルは2004年に東証マザーズに上場(現在は東証1部)した、ネット分野における”老舗ベンチャー”のうちの1社。2010年にはヤフーのリサーチ部門との統合、そして電通との合弁で電通マクロミルを設立するなどして規模を拡大。地味ながらもネットリサーチ分野では圧倒的な地位を確立していた。ネットリサーチの海外展開、さらには2012年2月には新規事業としてグループ会社のグライダーアソシエイツ(マクロミルが25%出資)がスマートフォン向けメディア「アンテナ」を開始。持続的な成長へ向けた取り組みも注目されていた。
そんな矢先の12月11日、外資系のベインキャピタルによるTOB(株式公開買い付け)が明らかになった。筆頭株主のヤフー、創業者の杉本哲哉社長兼会長は同時に賛同表明を行っており、順調に進めば5月には上場廃止となる。なぜ非上場化することになったのか。杉本氏は何を目指しているのか。本人を直撃した。

 ――なぜベインキャピタルのTOBを受け入れるのか。

2009年に社長に復帰した当時、ネットリサーチ業界は早くも成熟し、廉売競争が始まっていた。このまま進んでいくと業界全体がおかしくなる。そこで、ヤフーの社長だった井上雅博さんと話をして同グループのヤフー・バリュー・インサイトと経営統合しました。今期は電通の関連会社も連結に入れたことで、マクロミルは250億円ぐらいの売り上げ規模になります。サイズだけをみれば2009年に売り上げ70億円だった会社が4倍近くまで大きくなったわけです。

その間に海外展開も進めてきました。韓国には当社の子会社、マクロミルエムブレインがあります。韓国トップのネットリサーチ会社で現在、KOSDAQへの上場を準備しています。中国にも拠点があり、アジアでの展開を進めています。

成熟した国内で業界再編を自ら進める一方、新規事業の育成や、海外では環太平洋への展開を進めてきた。こうした作業を進める中で、1年半ほど前から、上場したままで会社を成長させるか、いったん非上場化して進めるのか検討を続けていました。

ベインは銀行に紹介してもらった

――水面下で非上場化の研究を進めていた、と。

常々、非公開化したいなんて外に向かって言っていたら大問題ですよね。株価にも影響する。実際、外には一切話をしなかった。

ただおもしろいもので、私たちが非上場化したい、と考えているタイミングに、外からいろいろな話が来ました。パートナーになりたいという会社もいくつか現れたので話をしましたが、「帯に短し、たすきに長し」でうまくいかない。そこで、みずほ銀行からベインキャピタルを紹介してもらいました。私たちはすでに非上場化のシミュレーションをしてきたので、話は早かった。ベインさんもスピーディーにデューデリジェンス(資産査定)を進めてくれたので、2カ月くらいでまとまりました。

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