平成最後を飾る、JR「史上最強」の特急列車は? 各社を代表する電車・ディーゼルカーが続々

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振子式車両はすべてのJR旅客会社で投入された。その中で、ディーゼルカーとしては世界で初めて振子式を開発したJR四国が頭1つ飛び出しているといえるかもしれない。

JR四国の2600系ディーゼルカー。同車両をベースに2700系先行車も登場した(写真:ももぞう/PIXTA)

1989年にデビューした最初の2000系は、線路に置かれた信号保安装置用のセンサーと連動して車体傾斜のタイミングを制御するシステムを採り入れたことでも画期的だった。その後、改良型を加えて四国内の電化していない線区の特急は、すべてこのタイプで運転されるようになった。

2017年には、2000系の後継ぎとして2600系が開発された。構造が簡単な、台車のばねの空気を出し入れすることで車体を傾斜させる方式が採られたが、とくに土讃線で能力不足と判断され、量産は振子式に戻すことが決断され、この春に2700系の先行車が完成している。秋からの営業運転に使われるようだ。

峻険な四国の山岳地帯にも、実質的な公費による高速道路ネットワークが充実しつつある。JR各社は開発もメンテナンスも、直接的には自力で行わなければならない。そんな悪条件の中でのJR四国の高い意欲とさらなる将来性に期待したい。

4.車両が傾く JR北海道キハ283系ディーゼルカー

JR北海道に振子式車両が登場したのは、JR四国の2000系に続く1992年のことである。その名はキハ281系。札幌と函館を結ぶ特急“スーパー北斗”用としてだった。

新得-広内信号場間を走るキハ283系。2007年8月23日(筆者撮影)

2000系のシステムを参考にしたとはいうものの、スタイルはまったく異なっていて、運転台を高いところに置いたため、背が高くスマートな車両という印象が強い。

1996年には、自己操舵式台車という最新システムを組み込んだ、改良タイプのキハ283系が誕生し、札幌と道東を結ぶ特急“スーパーとかち”で使いはじめられた。

自己操舵式台車とはより早くカーブを通過するためのシステムで、線路のカーブに合わせて車輪の向きを変えることができる。近年になって東京メトロでも銀座線や日比谷線、丸ノ内線の最新型電車に採用しているが、カーブを早く走るというよりはむしろ、カーブ通過時の音を抑えるのが目的である。また、キハ283系ではひとつの台車の2本の車軸がともに動くのに対して、東京メトロの台車は、片側の軸だけが動くところが異なっている。

キハ283系では、カーブを通過する時のスピードを向上させるための工夫が、もうひとつ採り入れられた。それは傾斜角の増加である。キハ281系では5度の傾斜だったのを、1度増やして6度としたのである。その結果、カーブを通過するときの速度が時速10km向上して、最も速い列車では札幌と帯広との間220.2kmが、2時間26分で結ばれることになった。

789系1000番代“スーパーカムイ”と同じように、2013年11月には最高速度が時速120kmに制限されるようになり、札幌と帯広の間の所要時間が、10分程度長くなった。諸問題が解決して、元のスピードに戻る日がくることを祈りたい。

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