「ベッキー結婚」でさえ酷評する人の深い闇 安易な「手のひら返し」や「厳罰続行」は禁物

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昨年6月に片岡コーチとの交際を認めたときからベッキーさんは、「周囲の人々から応援してもらえるようにしっかり歩んでいきたい」と言っていました。プロ野球キャンプイン前の1月に婚姻届を提出し、ハネムーンや関係者への報告をきっちり済ませたうえでの発表という点にも、そんな姿勢が表れています。

また、「交際8カ月のスピード婚」と速すぎるかのような記事もありましたが、1万組以上の婚活コンサルをしてきた私の経験で言うと、30代中盤の独身男女としては、ごく平均的なタイミング。つまり、「応援してもらえなかった」としても、「批判されることはない」ものであるにもかかわらず、「まだまだ厳罰続行」の声が上がるのはなぜなのでしょうか。

これも答えは同じで、厳罰続行を求める人々は、やはり「自分の人生を生きていないから」であり、だから「他人の人生で溜飲を下げよう」としてしまうのです。「手のひら返し」や「天使と悪魔化」をする人より、「厳罰続行」を求める人のほうが、さらにそれが根深く、その状態から脱出できないのでしょう。

そもそも、「3年前の不倫騒動に厳罰続行を求める」というスタンスに生産性はゼロ。「自分の人生と向き合おうとしている」ビジネスパーソンとしては、「そんなことあったっけ?」「もう忘れちゃったよ」というスタンスのほうが「仕事がデキる」「気持ちのいい人」と思われることは間違いありません。

ネット上のコメントにも“言霊”が宿る

少し話を変えると、「カジサック」こと梶原雄太さん(38歳)と宇野常寛さん(40歳)の「イジリかイジメか」の問題に対するコメントもしかり。当事者間の問題であり、社会問題とまで飛躍するのは無理があるにもかかわらず、悪いと思ったほうをイジリ、イジメるようなコメントは「誰のためにもならない」ものだけに、賢明なビジネスパーソンは避けたいところです。

他人への直感的な批判を重ねるほど、自分の送りたい人生からは遠ざかってしまうもの。また、「批判はネット上だけ。普段はちゃんとしている」と思っていても、そのコメントには「発した言葉が魂に作用する」という“言霊”が宿っています。

リアルとネットで分けているつもりでも、自分は1人であり、感情はつながっています。「本当はどうでもいいこと」であるにもかかわらず、負の感情を自分の心身に蓄積しないためには、直感的な批判、安易な「手のひら返し」や「天使と悪魔化」、粘着質な「厳罰続行」は禁物なのです。

最後に余談ですが、ベッキーさんは4度、梶原雄太さんは2度、宇野常寛さんは2度、取材や出演で会って話したことがありますが、少なくともたたかれるような人格の持ち主ではありませんでした。当事者間の経緯や詳細はわかりませんが、とても批判をする気にはなれません。本来はこのように、「会ってみたらいい人だった」という性善説寄りのケースが多いだけに、直感的な批判はできるだけ控えたほうがいいでしょう。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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