埼玉発「山田うどん」が熱烈に支持されるワケ 半世紀以上続く地元密着チェーンの哲学とは

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その1つが、ボリュームのあるメニューだ。5代目の山田裕朗・現社長は「カロリーのK点超え」を掲げ、昨今の糖質制限ブームに構うことなく炭水化物たっぷりの商品を提供する。前述のかき揚げ丼Aセットがまさにそうだ。商品開発の際も、「どんぶり1食と麺1食のセットで考える。意識というよりもうしみ付いている」(山田社長)。

江橋部長は「高い値段はつけられないので、使える商材は限られる」と話す。メインの顧客が求める安くてボリュームのあるメニューを提供するためにも、“炭水化物のオンパレード”となるようだ。

9割以上の店長が女性

加えて自分たちの強みを認識し、そこから外れない商品を心がけている。「山田うどんで売れるのは定番中の定番。奇をてらったメニューにならないように気をつけている」(江橋部長)。他社動向やトレンドも踏まえているとはいうが、流行を意識した商品は多くない。

山田うどんの店舗はロードサイドが中心で、駐車場が広いのも特徴の1つだ(記者撮影)

2018年12月から鍋焼きうどん3種類を発売した際も、山田社長は「下手な横文字を入れてもウケない。『スンドゥブ』という単語を入れて本当に大丈夫なのか」と不安視していた。最後はほかの幹部に「今の時代、大丈夫ですよ」と押し切られたそうだが、ここにも山田うどんの姿勢がにじみ出ている。

もう1つが女性店長の活躍だ。山田うどんでは、9割以上の店長が女性だという。チェーン展開を始めた当初は男性店長が中心だったが、あるとき女性の店長を登用したところ1番の営業成績を収めたため、そこから女性店長を積極的に起用するようになった。40代や50代で子育てが一段落した女性を経験不問で採用し、育成している。

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