タリバンが復活するアフガニスタン、米国の貢献要請に日本はどう向き合うか

タリバンが復活するアフガニスタン、米国の貢献要請に日本はどう向き合うか

イラクからアフガニスタンへ。米国は中東戦略の重心を移そうとしている。バラク・オバマ次期大統領は、当選後、ABCのインタビューに応じて、「イラクに14万人の兵力が張り付いているために、アフガニスタンでの作戦がおろそかになった。今後はイラクからアフガニスタンに兵力を移すべきだ」と、大統領選挙期間中からの持論を強調している。

米国がイラクの泥沼に足を取られている間に、アフガニスタンでは米国が倒したはずのイスラム原理主義組織タリバンが復活している。

アフガニスタンの危機

『タリバンの復活』(花伝社 2008年)の著者である進藤雄介・外務省大臣官房考査・政策評価官は、「タリバンが復活し、アフガニスタンの情勢は深刻になっている。米欧日が支援するカルザイ政権は危機に直面している」と指摘する。

こうした情勢の変化に伴い、米国は日本に対して、アフガニスタンでより一層の貢献を求める方針である。

具体的には、(1)海上自衛隊が行っているインド洋での給油活動の継続、(2)アフガニスタンでの軍事作戦および復興活動での財政支援、(3)陸上自衛隊のISAF(国際治安支援部隊)への参加、などが考えられる。

ただ、(3)のISAFへの参加は、イラクの復興支援活動と異なり、アフガニスタンには安全な地域がなく、ISAFの基幹であるNATO(北大西洋条約機構)軍とともに対タリバンの実戦に参加することになるので、政府は否定的である(11月28日の麻生太郎首相の参議院での答弁など)。したがって、今後の日本の貢献は、(1)と(2)を軸にして求められそうだ。

ただ、奇妙な現象が起こっている。昨年の衆参ねじれ国会の中で、(1)のインド洋給油活動に反対し参議院で否決した、民主党の小沢一郎代表が、よりハードルの高い、(3)の自衛隊のISAF参加について、ISAFが国連安全保障理事会決議(01年)によって設立されたことから、「国連の承認があるので、日本がISAFに参加しても構わない」という持論の「国連中心主義」にのっとった見解を示しているのだ。

現在、米国はグローバルな軍事再編を進めている。その一つが在日米軍の再編であり、米軍と自衛隊の「一体運用」体制の推進である。

こうした内外の情勢を考慮すると、陸上自衛隊が「後方支援」という名目でISAFに参加する可能性もゼロとはいえないだろう。日本はこれからアフガニスタンといや応なく向き合うことになる。緊迫するアフガニスタン情勢について整理してみよう。

反対勢力「買収」は成功するか

イラクで自爆テロや襲撃がなくなったわけではないが、米兵やイラク人の死者が急減していることから、米国の政治家はイラク情勢については自信を持ち始めている。

03年3月に始まったイラク戦争の泥沼化でブッシュ大統領は07年に2万人超を増派し、16万人の規模にした。アフガニスタンからも精鋭部隊を引き抜いたといわれる。

米国はムクタダ・サドル師が率いるシーア派反政府武装集団に激しい軍事作戦を行う一方で、それまでのイラク政策を大きく転換し、米国とシーア派・クルド人主導のイラク政府に反対していたスンニ派の部族長たちに武器とカネを渡して、治安回復に協力させる。こうしたスンニ派部族の民兵は「サフワ運動」と呼ばれ、その数は10万人ともいわれる。

当初は、米国に敵対していたスンニ派部族長たちに武器とカネを渡すリスクが指摘された。特にイラク政府内には、「フセイン政権やアルカイダに協力して、血に染まった人々を受け入れられない」という反対論が強かったが、追い詰められた米国が実施を決断した。こうしたイラク軍事作戦の転換を推進したのが、07年2月から08年9月まで駐イラク米軍司令官を務めたデビッド・ペトレアス陸軍大将である。

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