なぜ”戦う哲学者”は子どもを持ったのか 軽蔑の裏返しで抱いた「通常人」へのあこがれ

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今回の問題は主に4つ

とはいえ、今回の問題点は多くの要素から成っているので、箇条書きにしてみましょう。

1 この世の害悪はすべて人から生まれる。

2 子どもを産まなければ害悪も生まれないから、子どもを生むべきではない。

3 子どもを持てという周囲のプレッシャーが苦しい。

4 たとえ子どもを持ったとしても、「虚無感を抱き続けている」自分は母親になる資格がない。

上から下に行くにつれて、だんだん具体的、個人的になってきますが、結論から言ってしまうと、「結婚もしなくていいし、子どもも持たなくていい」、あるいはもっとズバッと言ってしまうと、「結婚もするな! 子どももつくるな!」となります。

しかしながら、前後左右の「通常人」はこれを許してくれない。とにかく「普通でないこと」が大嫌いで、「普通であること」だけにしがみついている、しかも「真剣に考えること」をしない、実に実に哀れなやからなのですから、豚に真珠、何を訴えてもむなしいだけです。

あなたの「親」もそのようですね。そんな親と渡り合って、莫大なエネルギーを費やすのは、ただただ「無駄」の一言に尽きます。ですから、あなたは、親を、少なくともこのことに関しては「捨て」なければならない。そして、自分の信じるとおりに生きるしかない。幸い、あなたは容易に潰れない組織に就職しているようですから、親から金銭的にも精神的にも完全に独立して、親の言うことを完全に断ち切って、生きていくことです。これで、3と4は一挙に片付きました。

次に1と2に移りましょう。このうち1はほとんど自明の真理ですが、1から論理必然的に2へと進むわけではありません。1から「よって、今、生きている人はすべて自殺すべきだ」という結論を導くこともできましょう。古代ギリシャでも、こう信じて自殺を勧める哲学者がいたということです。

あるいは、もっと物騒になりますと、「よって、今すぐ全世界を破壊し、人類を全滅させる」という結論が出てくるかもしれません。アメリカ大統領でもロシア大統領でも、あるいはほかの権力者でも、いざとなったら水素爆弾を数万個爆発させて、これを実行することも可能なはずなのですが、いまだ誰もそれをしなかったことが不思議です。

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