「子どもの才能」を引き出す環境作りの極意 遺伝子の力を発揮させるのに親がすべきこと

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子どもの才能を伸ばすには、こまめに褒めて自己肯定感を育成することが大切だという(写真:YUJI / PIXTA)

小児科医36年の経験に基づく「ありのままを見守る」子育て論『小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て』。筆者の慶応義塾大学医学部小児科の高橋孝雄主任教授に聞いた。

小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て
『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(高橋 孝雄 著/マガジンハウス/1300円+税/198ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

──子育てには悩みがつきものです。

持って生まれた才能は、いつか必ず花開く。どの子どもも、親から受け継いだすばらしい素質を持っている。親がすべきは、その才能が花開くのを温かく見守ることだけ。子どもの個性は顔立ちと同じ。親から受け継いでいる。

──親から受け継ぐのですね。

お酒に強い弱いは、親の体質がそのまま伝わる。親の特性は運動が苦手、体育嫌いといったところにも出る。「トンビがタカを産む」ことは遺伝的にありえない。タカを産んだらトンビではない。トンビとタカを比べてどっちが偉いかも考えられない。

男の子「ママ似」、女の子「パパ似」は根拠なし

──「言い伝え」には男女の特性に基づくものもあります。

男の子はママ似、女の子はパパ似とよくいわれるが、医学的な根拠はない。背の高さは親に似る。日本人の男子の場合、父親の身長プラス母親の身長に13センチメートルを足して2で割った数字が背の高さの目安。女子は同じく両親の身長の和から、13センチメートルをこの場合は引いて2で割った数字が背の高さの目安になる。それぞれプラスマイナス8~9センチメートルのゆとりがある。

──幼児の診療に白衣は着ない?

子どもが怖がるからだ。幼児を泣かせない方法がある。いきなり目を合わせないことだ。まず鼻の辺りを見る。そしてだんだん目を見るようにする。月齢6カ月未満は人見知りをしないので、何をしても大丈夫だ。

──小児科では年齢によってかかる病気があるそうですね。

同じ症状でも月齢、年齢によって鑑別すべき、つまり考えるべき病気がある。最たるものは生後1カ月以内に熱を出したときで、髄膜炎や敗血症といった重い病気を考える。本来は母親の免疫が残っていて熱を出さない。生後3カ月の子が熱性けいれんを起こしたらおかしいと思ったほうがいい。半年過ぎて、保育園などに預けたら大方がいきなり熱を出す。その月齢ぐらいから安心できる発熱が増えてくる。普通、小児科医として3〜5年やってくれば身に付く。

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