「発酵食品」の真実をどれだけ知っていますか 和菓子の「くず餅」も実は発酵食品だった

✎ 1〜 ✎ 92 ✎ 93 ✎ 94 ✎ 最新
拡大
縮小
人類は有史以前より長きにわたり、仕組みを知らないまま発酵を利用してきた(写真:fcafotodigital/iStock)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「発酵食品」。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。
この連載の一覧はこちら

01. 「発酵」とは微生物の代謝によって物質が分解されたり変化したりすること

02. 学術的には「微生物が有機物を嫌気的に分解してエネルギーを得る反応」と定義される

03. 一般に「発酵」といわれる現象は多様で、生育に酸素を必要とする微生物が利用されるものも多く含まれる

04. 微生物は、微小で肉眼では見えない生物

05. 発酵を行う微生物を総称して発酵菌という。発酵菌は大きく分けて、菌、酵母、カビ類の3つ

06. 発酵で活躍する菌の代表は、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌

07. 酵母(イースト)は食物に含まれる糖類を餌として、アルコールと二酸化炭素に分解するもの

08. ビール酵母やワイン酵母、パン酵母など、さまざまな酒の醸造や食品の製造の工程に関わっている

09. 麹は加熱した穀物に繁殖するカビの一種。厳しい環境でも発酵する力を保つ強い菌といわれる

麹菌の恩恵に預かった発酵食品が多い日本食

10. 日本食の原点ともいえる味噌、醤油、かつお節、酒などはすべて麹菌の恩恵に預かった発酵食品

『モノ・マガジン』2018年9月16日情報号(9月2日発売)。大特集は「アンティークロレックス大全」。特集は「作り手たちの魂の声を聞け! ザ・ボイス」などです。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

11. 微生物は食物を分解する際、特有の匂い成分やアミノ酸等の旨味成分を醸し出す。これが発酵食品それぞれの複雑な匂いや味の深みを生み出している

12. 発酵食品では発酵菌が増殖して他の菌が生きにくい環境が保たれる=腐敗菌の繁殖が妨げられ、長く保存できる

13. 発酵食品ができるとき、微生物の働きで栄養素が増えて蓄えられ、発酵前と比べて栄養価が大きくアップする

14. 「発酵」と「腐敗」はどちらも微生物の働きによる変化でメカニズムは同じ。人間に有益なものが「発酵」、有害なものが「腐敗」と判断される

15. 一般に発酵と呼ばれている工程でも、実際には微生物が関与しないものもある。例えば紅茶の“発酵”は茶葉自身の酸化酵素の働きによるもので厳密には酸化である

16. 人類は有史以前より長きにわたり、その仕組みを知らないまま発酵を利用してきた

17. 確認されている最も古い発酵食品は約8000年前のコーカサス地方のワイン

18. 紀元前3500年頃には中近東の遊牧民が山羊の胃袋で作った水筒で運んでいた乳が酸味のある白い塊に変化。この偶然の産物がヨーグルトやチーズの起源と伝えられる

19. 紀元前4000年~3000年頃には古代エジプトで発酵を利用したパンが作られていたとみられる

20. 古代ローマの料理書『アピキウス』には、調味料として「魚醤」が紹介されている

次ページ日本でも古代から利用されていた
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT