上海「シェア自転車」ブームはもう去っていた あれほどはやっていたモバイクはどこへ?

✎ 1〜 ✎ 224 ✎ 225 ✎ 226 ✎ 最新
拡大
縮小
上海は抜けるような青空。PM2.5で大騒ぎしていたころとは様変わりだ(筆者撮影)

8月の終わりに3日ほど日程が空いたので、「えいやっ!」と上海にやってきた。やっぱり年に1回くらいはこの賑やかな街に来て、中国経済の定点観測をやりたいものである。とにかく変化が早いからである。

あれほどはやっていた「モバイク」はどこへ?

昨年は2回上海に来た。春に来た時には同国の自転車シェアリングのベンチャー企業である「モバイク」(Mobike)が大流行であった。

モバイクだけではなく同業他社も参入して、それこそ4色の自転車が街を駆け回っていた景色は壮観であった。交通渋滞が激しい上海では、自転車がことのほか便利なのである。「中国でシェアリングエコノミーが大流行!」というニュースをお聞きになった方も少なくないだろう。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

次に昨年末に来たときには、自転車が2色に減っていて、つまり2社が淘汰されていた。それくらい、中国の変化は早い。今度はどうなっていることやら、と楽しみにして来たら、おやおや、ほとんど自転車を見かけなくなっているではないか。

モバイクはどこへ行ったのか。会う人ごとに尋ねてみる。返ってくる答えは千差万別であった。

「交通マナーが悪くてねえ、社会問題になったからだよ」「夜中に移動させるときの扱いが乱暴で、自転車がどんどん壊れてしまってね」「そういえば、こないだ『投棄自転車の墓場』を見かけたぞ」

こんな答えがあったかと思えば、

「いや、単に上海市民に飽きられたからじゃないか」「そもそも、あんな低料金で儲けようというのが甘い」「いや、株式上場した連中はしっかり儲けて、後は売り抜けて笑っていると思う」「海外でも事業展開しているらしいけど、大丈夫なのかねえ」

といった声も。

このモバイク、今では日本でも事業を展開中であるとのこと。ところが本家本元ではもう落ち目になっている。あまりの速さに呆れるほかはない。

次ページ「日本はベンチャー精神が欠如」は正しいか?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT