取材の待ち合わせは東大の赤門前。今回登場する堀込さん一家が「子どもたちを連れてよくキャンパス内で遊んでいる」ためだ。
夫婦ともに東大関係者。夫の泰三(たいぞう)さんは工学部で学び大学院を修了。妻の実苗(みなえ)さんは最近まで東大所属の研究者で、現在も客員研究員として籍を置く。職住近接で大学の近くに住んでおり、次男の耕平くんはキャンパス内の保育園に通っている。
記事に載せる家族写真を赤門前で撮りたいのですが……。「わかりやすい写真」を撮ろうと筆者が切りだすと、泰三さんにやんわり断られた。「そういうのはあまり好きじゃないので、別のところにしませんか」。
案内されたのは、赤門を入って数十メートルのところにある芝生の広場。渦巻き形のベンチがある、公園のようなスペースが、堀込さん一家のお気に入りだ。着くやいなや、2人の息子さんたちは裸足で走り始めた。20~30メートル先にある、大きな木のところまで全力で走っていき、こちらに戻ってくる。そして茂みの周りをぐるぐる回る。
そんな2人の様子を目の端にとらえつつ、インタビューに答えてくれた堀込さん夫妻が「危ない」と言ったのは、たった1回だった。子どもたちのすぐ後ろを車が徐行で通り過ぎたときだ。ちなみに2時間弱の取材撮影の間、「だめ」という言葉は、夫婦のどちらからも、一度も出てこなかった。
夏休みは23泊、男子3人夏物語
堀込さん夫婦の子育て方針は、あえて尋ねるまでもなく、こうした様子を見ているだけで伝わってくる。泰三さんが2人の息子に望むのは「自分でやりたいことを見つけられる子に育ってほしい」ということ。
重視するのは「体験」だ。峻平(しゅんぺい)くんが6歳で小学1年生、耕平(こうへい)くんが2歳で保育園児ということを考えると、まだ、勉強より遊びが優先なのも当然かもしれない。ただ、泰三さんの言う「体験」は普通の親の想像を超えるスケールのものだ。
たとえば夏休み。昨年は、泰三さんと峻平くん、耕平くんの3人、沖縄で1カ月暮らした。これを泰三さんは「男子3人夏物語」と呼ぶ。今年の夏は23泊24日、鹿児島市に3泊、船の中で2泊、奄美大島や与路島などの離島にも滞在し、種子島ではロケットの打ち上げも見た。
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