EC大手が中国全土で「翌日内配達」できる秘訣 ここまでやる!中国最新流通事情<後編>

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ジンドンは上海や北京に自動倉庫を持つ。中でも上海にある自動倉庫は4万平方メートルの広さがある。

上海の大型倉庫では300個もの仕分けロボットが使われる(写真:ジンドン)

自動倉庫では荷受けや、荷物の保管、包装、仕分け作業の4つの工程をすべてロボットが行う。特に圧倒されるのが仕分け作業だ。ロボット掃除機、ルンバのような赤い機械が300個ほどぐるぐる倉庫内を回り、荷物を仕分ける。

「1時間のうちに1台で1800個の商品を仕分けることが可能」(同社)。機械はセンサーで互いを認識するため、衝突も避けられる。こうした倉庫内の自動化により、上海の倉庫では以前は数百人が働いていたが、現在ではシステムオペレーターの数十人にとどめられているという。

すでに40機のドローンを活用

自動化が進んでいるのは倉庫のみではない。山間部への配送にはドローンを用いて飛ばしている。

ドローンで山間部にも配達(写真:ジンドン)

ドローン配送は2016年から農村部で始めた。現在ドローンは全部で40機。30キログラム以内の荷物を100キロメートルまで飛ばすことができる。ドローンは中央部の西安市と東部の江蘇省の2カ所に拠点がある。山間部に荷物を飛ばすと各拠点のスタッフが受け取り、自宅まで届ける仕組みだ。

毎日数十回の利用があり、行き来の難しい山間部への重要な配送手段となっている。さらに現在1トン以上を輸送できる重量ドローンも開発中だ。また、2020年をメドに配送用の無人飛行機の導入も検討している。

ジンドンの売上高はこの4年間で約5.2倍に急伸した。一方で収益面では赤字が続いており、自前の物流インフラが重荷になっている可能性がある。ただ、わずか15年あまりで中国全土をカバーするインフラを作り上げたスピードは目を見張るものがある。人手不足に直面する日本の物流業界にとっても、何かしらのヒントとなるかもしれない。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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