カバン改造がかつて不良学生の証だった理由 この蘊蓄100章は思わず人に話したくなる

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41. 同時に学習用具の多量化、宿題の増加にともなって収納運搬具としてのランドセルが小学生の必需品となる

42. 当時は男子中学生の帆布製肩掛け鞄をのぞき、ランドセルも学生鞄も天然皮革がメインであった

43. しかし1965年、世界に先駆け倉敷レーヨン(現クラレ)が人工皮革「クラリーノ」の販売を開始する

44. 人工皮革のベースは三次元構造の不繊布で構成され、連続微細多孔という特殊ポリマーを使用

45. 人工とはいえ天然皮革と同じような構造を生み出すことで、外見・風合いともに天然皮革に近似している

46. 折れ曲げにも強く透気性・透湿性にすぐれ、なにより天然皮革より軽量なことから学生鞄市場で人気が爆発

47. 1970年代後半には天然皮革に代わり人工皮革の学生鞄が主流を占めるようになっていく

48. 一本手の学生鞄は持ち手や錠前などが金属で補強されており、ベロ革が前面の左右2カ所にあるのが特長

教科書やノートが収納しやすい(写真:terumin K / PIXTA)

49. 内部はポケットをはじめいくつものスペースに分かれ、教科書やノートが収納しやすいよう配慮されていた

50. 男女を問わず黒色が一般的だったが、濃紺色や茶色も利用され、学校によって校章入りの指定鞄もあった

51. 鞄の大きさやマチの太さ、錠前の形などの細部はメーカーによって異なる

鞄を改造する学生たち

52. 1970~80年代にかけて高校生を中心に意図的に「マチを細く改造」した一本手の学生鞄が流行した

53. この流行は地域差はあるものの男女を問わず、マチの太い鞄は「ブタ鞄」「ブタバッグ」として嫌悪された

54. 学生鞄の改造は、飲酒、喫煙、制服アレンジと同様に管理教育全盛期における反抗の一種ともいわれている

55. 学生たちは鞄を薄くし学用品を持ち歩かないことで、勉強や進学など世俗的な価値規範から距離を置いた

56. 当時、学生鞄の改造方法として最もポピュラーだったのが、鞄に湯をかけて革を柔らかくし重石で潰す方法

57. 布団の下に鞄を敷いて寝押ししたり、マチ部分を安全ピンで留める、間仕切りを取り払うなど多様にあった

58. マチに入っている「芯」と呼ばれる金属を工具で取り払い、さらに薄くする方法もある

59. 芯を抜いた上でマチ部分を切り取り、そこを糸で縫い留めたり、接着剤で貼り付けて広がらないようにした

60. 当時の学生たちの改造は「持ち手」にも及んだ。取っ手部分を取り外しベルトやチェーンを用いて長くする

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