「使いかけの化粧品」を買う今どき女子の事情 若者たちの消費行動はここまで変化している

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試着しないで買って失敗することに対して不安はないのか。尋ねたところ、「フリマアプリ上で、気軽にコメントのやり取りができるから、だいたいの不安な点は質問して解消できる」とのこと。実際に着用して写真を撮ってもらうことや、襟周りや袖の長さなど細部のサイズを測ってもらうことや、実物に限りなく近い色みの写真の掲載など、どんなことでもリクエストできるため、入手できる事前情報は限りなく多い。

インスタではモデルではない普通の人の着用感がわかり、フリマアプリではリアルな色みや生地感がよくわかるので、わざわざ外に買い物に出なくても、家にいながらにして試着してみたような安心感があるようだ。さらに、WEARやInstagramであらかじめ不特定多数の人から「いいね」がついている服であれば、購入の際になおさら安心感があるだろう。

このように、フリマアプリの流行は、若者の商品を購入する際のさまざまなハードルを下げ、消費を促進しているのではないだろうか。 WEARや Instagram以外のSNSとも組み合わせて使用されることで、さらに利用シーンが広がることが予想される。

原田の総評:フリマアプリ普及で消費行動が激変

現場研究員のレポートはいかがでしたでしょうか? SNSやフリマアプリの普及、また、その他さまざまな理由で、この数年の間に、若者たちのメークやファッションに関する消費意識や行動が大きく変わっていることが、リアルにご理解いただけたのではないでしょうか。

学生たちのレポートとやや重複感はありますが、私が思う今回の主なポイントを以下に列記しながら総括してみたいと思います。

バブル時代の再来? 今の若者は「ロゴ全開」のブランド品を求めている

今の爆買い中国人のように、ブランド品を周りの人に見せびらかしたかった人もいたバブル時代の日本人と違い、そもそも今の若者たちはあまりブランド品に興味がなくなってきているといわれています。

また、今の若者たちは、ブランド品を買うにしても、あまりロゴが目立たないアイテムを求めるようになっているともいわれてきました。拙著『さとり世代』の中でも、ブランドのロゴがはっきりわかるバッグなどを持つ人を、若者の間では「イタい」と見る向きがある、という話題が出てきて、バブル世代の編集者さんが驚くリアルな様子が掲載されています。

ところが、ここ数年、フリマアプリの普及により、フリマアプリ上で売れやすいブランドのロゴがはっきり出ているアイテムが、若者の間で再び人気を博すようになってきているようです。

評価されている「最強の素人」が最大のインフルエンサー

今の時代も芸能人の影響力はある程度大きいですが、若者の間では以前程の影響力はなくなってきているようです。それにはさまざまな理由がありますが、大きな理由はきれいすぎる芸能人が何を着ても似合ってしまうので自分にフィットするかどうかはわからないし(昔は芸能人と同じ服を着て少しでも追いつきたいという願望が若者の間で強かった)、芸能人だとお仕事としてその洋服を雑誌やSNS上で推薦している可能性がある。そのため、インスタなどのSNSなどで評価の多い素人が、リアルなインフルエンサーとなるようです。

よって、若者の雑誌離れは進み、インスタなどのSNS上での検索結果の影響力が大きくなっているようです。また、雑誌と違い、フリマアプリは、出品者とやり取りができ、ディテールまでチェックできる。これが雑誌だとディテールを聞ける人がいないし、店頭だとユーザーの意見が聞けない。これがフリマアプリで洋服を購入することのメリットのようです。

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