JR西「東海への遠慮」が台車トラブルを拡大? 新幹線台車亀裂の「遠因」を有識者会議が言及
異変に気づきながら、なぜ列車を止められなかったのか。JR西日本の見方は次のようなものだ。「車両保守担当者と指令員との間で車両の状況に認識のずれがあり、運行停止に関する判断基準が曖昧だった。運行停止に関する判断を相互に依存していた」。
そこで、JR西日本は判断基準の明確化、現場判断優先の徹底といった対策を講じている。
一方、有識者会議は「JR西日本の対策はコミュニケーションの改善に限定されている」と、手厳しい。「より広い視点からの改善が必要」として、車両基地のリニューアル、車両保守担当社員の拡充、指令員の処遇改善など新幹線部門への物的、人的リソースの投入、新幹線車両の異常を感知する技術の開発、といった提言を打ち出した。
多額のコストを伴う対策も多く、指令員の処遇改善にまで踏み込んでいるのは、場当たり的な対処療法では事態の改善にはつながらないということなのだろう。
JR東海は同じ日に東海総合指令所を報道陣に公開
最終提言が行われた日と同じ3月27日、JR東海(東海旅客鉄道)は在来線の運行管理を行う東海総合指令所を報道陣に公開した。
同指令所は東海道本線や中央本線など在来線全体の約8割をカバーし、1日2100本の列車の運行を24時間体制で管理。輸送障害の発生時にはダイヤの調整を行ったり、乗客への案内の指示を出したりして、早期の正常化に努める。在来線の指令所も新幹線の指令所も基本的な構造は同じだ。
この日は全国的に好天で、悪天候による遅延といった運行上のトラブルはなく、平穏無事に業務が行われているという印象だった。ただ、時折、スピーカーから聞こえてくる列車の乗務員と指令員とのやり取りが気になった。
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