(第18回)採用担当者から見た大学の就職支援

 では、採用担当者として「大学生のキャリア支援として大学と連携して実施できること、または実施したいこと」が何かを聞いてみた(アンケート回答者280名のうち76名からこの質問に対する回答を得た)。

1位:「就職支援関連のセミナー」(28人)
●社会人としてのビジネスマナー講座
●企業が判断するポイントの講演
●キャリア形成支援講演
●採用担当者と大学キャリアセンター担当者との意見交換・討論会のようなもの
2位::インターンシップ受け入れ(20人)
●インターンシップを通じた実社会現場の体験
●インターンシップ等により、ものづくりに携わる人材育成に寄与
●一定の大学と連携したインターンシップ制度の導入
3位:業界研究セミナー(合同説明会)への参加(17人)
●IT業界やSEの仕事内容についての理解を深めること
●研究内容と実際の仕事がいかに結びつくのかという点を明確にする橋渡し
●業界の現状および今後の紹介
 これらのコメントを見ると、「連携して何かできれば」という社会貢献的な思いは採用担当者にはあるが、その回答は自社の採用にも何らかの効果が期待できそうな、ほとんど常識的なもの(これまで実施してきたもの)に落ち着いていることが分かる。

 採用担当者が多忙なことも、自社採用に何らかのメリットが無ければ、組織を動かしにくいことも理解できるが、例えば、企業を退職したOBを組織し、大学の就職支援に取り組むというアイデアはいかがだろうか。部下を率いた経験を持ち、社内外の人脈も錆ついていない"若手退職者"の活用という取り組みというわけだ。無論、やる気のある人にお願いするので、具体的な計画作りから"若手"の皆さんに参加してもらう。
 身内やアルバイト先以外の世代とコミュニケーションを推し進めることは、少なくとも「コミュニケーション能力」の強化や鍛練になると思うのだが…いかがだろう。

●キャリア教育で評価される大学

 アンケートの最後に、キャリア教育で評価できる大学について聞いてみた。それほど多くの回答は無かったのだが、中でも複数の回答があった上位の大学とその評価されたポイントを紹介しよう。
立命館大学
●個々人の個性を伸ばした上での教育ができていると感じる。
●全国的に見ても「OB・OG」や「内定者」を有効に活用したり、早期から低年次キャリア教育に取り組んでいるところが先進的。
●大学ぐるみで本気で取り組んでいる。
金沢工業大学
●就職活動について、キャリアセンターや教授方と学生とのコミュニケーションがとれており、学生の状況をキャリアセンターが把握しているため。
●考え、行動する学習を進めているから。
島根県立大学
●進路指導を入学直後から教育の重点に据えている
●文系国公立大学の中で上場企業への就職実績が日本一であり、そのことが入試偏差値の高さにも反映されている。
神戸大学
●入学前から父母向けガイダンスを始め、年次ごとにキャリア教育を行っている点。
同志社女子大学
●最低限のマナーや常識がしっかり身についており、丁寧な指導が伺える。
甲南大学
●キャリアセンターの先生方の大半がCDA資格を取得し、キャリアカウンセリングに力を入れている。
 評価されている大学のポイントをまとめると、大学全体で一貫したキャリア教育の体制をとっていること、低学年からのキャリア指導、表面的な就職ノウハウではなく個性を伸ばす教育や社会的マナーを含めたキャリア形成支援ができていることなどが挙げられる。
 
 個々の企業の採用担当者に話を聞くと、優秀な人材を熾烈な採用競争の中で獲得するというミッションが優先されるものの、採用活動の中で出会う多くの学生を見て、「こんな学生ばかりで日本の将来は大丈夫か?社会人の先輩として何かしてやらないといけないのではないか」という義務感を感じる人が少なくないようだ。今回のアンケートで大学のキャリアセンターに対する採用担当者の目は厳しいことが分かったが、それでも産学一体となった取り組みだからこそできるキャリア支援が非常に重要だと考えている。大学側も変な警戒心を解いて企業と連携する動きをこの際、強めてほしいと願う。
採用プロドットコム株式会社
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。

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