(第17回)採用担当者から見た大学の就職支援

(第17回)採用担当者から見た大学の就職支援

採用プロドットコム株式会社

●新卒採用現場の現場では優秀な大学生が確実に減っている

 一昨年あたりから景気が回復してきたことで、新卒採用環境が好転。2000年頃の就職氷河期を知る当事者や関係者たちは、この現状をどのように捉えておくべきなのだろうか。
 一人でいろいろな会社から内定をもらう学生が多数存在する事実がある一方で、有名大学の学生なのに内定がゼロという学生も少なくない。
 就職勝ち組と負け組の二極化の構図は、大学のキャリアサポートと企業のニーズとのギャップと因果関係がどの程度あるものなのだろうか。

 先日、採用プロドットコムがある団体からの要請を受け、「社会から求められる大学とは何か」という勉強会の趣旨のもと、行った講演から「企業の採用担当者から大学の就職支援がどういうふうに見えているか」、「望まれる就職支援はどういうものなのか」を、企業の採用担当者へのアンケート調査に基づき、二回にわたって考察していく。
 アンケートデータからは、興味深いデータ、意見が数多く見られた。はじめに、その概要を紹介する。

 まずは、採用担当者に「採用活動で出会う学生のなかで、ここ数年優秀な学生は増えていますか、減っていますか」という質問を投げかけた結果を紹介したい。この結果は採用プロドットコムが主催する各種セミナーや講演会、執筆の機会で提示しているものだが、「減っていると感じる」が58%とダントツの1位。「増えていると感じる」の7%を大きく引き離している。ちなみに「ほとんど変わらない」という回答は31%。
 冒頭、新卒採用担当者の間では、「学生の二極化」(優秀層と非優秀層の極端な分離)がここ数年大きな話題になっていると述べた根拠となる数字だ。このアンケート集計結果から分かることは、学生の二極化といっても「優秀層が増えたのではなく、非優秀層の増大が目立っている」という事実である。

 次に、採用担当者のコメントを紹介しよう。唖然、愕然する方も、思い当たる節がある方もいらっしゃるかもしれないが、コメントは新卒採用に取り組んでいる企業の採用担当者がアンケートに直接記入した「採用の現場の生の声」である。
学生時代に立てた目標が、自分の犬を飼うことだった。意識レベルが小学生程度だった。
学生を待たせている会議室に面接官が入室しても、立ち上がらないで座って会釈するだけの学生がかなり目立った。
電話でも名前・学校等を名乗らず、説明会でも挨拶ができないなど、基本的なマナーが身に付いていない学生が多い。
大学院の理系学生であっても、仕事の方向性が明確でない、何をしたいのか分からない、という学生がいた。
例年に比べて意識が低い学生が多い。具体的には、主体性の欠如、自分のやりたいことしかやりたくない、自分のことにしか意識がいかずに社会で何が求められているか認識していないなど。
 最初の三つについては、論外というご意見の方も多いと思うが、二極化のポイントとなるのは最後の二つではないだろうか。「社会に出たら、こういう仕事をしたい」という主体的な考え方の学生は、自ずと仕事の内容で会社を選ぶ。また、そういった観点を持っている学生は、どのような分野で自分が成長していきたいか、考えた末に自分で目標を見つけた学生である。したがって、その目標に向かって様々な自己啓発に取り組む学生もいるというわけだ。
 しかし、たとえ大学院に学んでも、やってきたことと将来の方向性がある程度合致していなければ、単に「有名大学の学生さん」という評価しか獲得できない。少々厳しく言うと、同じ大学の意識の高い学生と比べられ、「自分が取り組む仕事について目的意識のない学生」という有り難くない評価に落ち着いてしまう可能性は決して低くない。

 さて、このような学生たちを前にし、採用担当者はどのような対策を講じているのか。最も一般的な対策としては、採用基準を前年度に比べ上げている企業が多いということである。「超売り手市場」と言われる新卒採用戦線で採用基準を上げるとますます採用が困難になることは目に見えているが、採用基準を下げるととんでもない学生をつかんでしまうという企業の危機感がそこには見て取れる。

 新卒採用は景気に左右される部分がかなり大きいことは確かだが、好景気は逆に学生の気持ちを緩める危険性を孕んでいるという見方もできる。企業の参加協力を得て、学内で盛んに開催されるセミナーなどもどちらかというと卒業生が在籍する大手有名企業が中心のラインナップになりがち。学生の希望もあるだろうし、足が向きやすいという集客効果も理解できないわけではないが、改善・改良の余地は少なくないように感じる。
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