(第18回)採用担当者から見た大学の就職支援

(第18回)採用担当者から見た大学の就職支援

採用プロドットコム株式会社

●採用担当者として大学に求めるもの 採用担当者として大学に協力できること

 前回に引き続き、今回も大学のキャリアセンターが取り組む就職支援を採用担当者の目線で考察していきたいと思う。まず、採用担当者として大学に求めるものは何かを聞いてみた。結果については「グラフ2」をご覧いただきたい。
 第1位は「学生のコミュニケーション能力の向上」、第2位は「学生の基礎学力の向上」が群を抜いて高いことがわかる。「コミュニケーション能力」はいわずとしれた就職・採用にかかわるあらゆる調査で"最も企業が学生に求める能力"である。第2位の「基礎学力」については、大学の増設や新設、少子化が引き起こした入試の容易化による基礎学力の二極化を指摘するものであろう。

 少し余談になるが、先日、2008年度から工学部の学生募集を停止した北九州市の九州共立大学を引き合いにだしてみよう。同大学は3年後の2011年度をメドに在学中の工学部学生がすべて卒業した段階で、工学部は廃止される方向にあるという。
 工学部長がメディアの取材に答えた内容を簡単に紹介すると、定員割れは2002年からで、入学者は定員の8割~9割まで落ち込んだ。大学の経営を維持するため、つまり定員を確保するためにとった手法は、ほとんど「全入」といってもいい入学試験であった。このような状況になっても工学部としての矜持があったのだろう。「数学の試験で0点の人に限り不合格としよう」といった最低限の基準だけを設けたという。

 ちなみに九州にある全ての私立大学の学部志願者(約13万人)と早稲田大学の志願者(2008年は125,647人)はほぼ同数という調査データがある。大学受験を経たうえで、学びの意識や意欲を持つ若者は都市圏を目指す傾向はますます顕著となっている。大学側は「生き残りは地方でしかできない特色のある教育で」とスローガンを掲げている。しかし、いま一歩具体的な"特色"が見えてこないのも事実。真っ先にすべき大学のキャリア教育とは、生き残りのためにとった経営方針の犠牲になった「基礎学力」の向上なのではないだろうか。

 さて、一方、大学に必要性を感じている項目として支持が少ないものは、「業界研究、仕事研究サポート」「面接、適性テストの指導」「インターンシップ受け入れの拡大」「産学連携のキャリア支援」など。つまり、企業は直接的な就職指導はほとんど求めていないことが分かる。先にも採用担当者のコメントとして出ていたが、大学によっては就職指導でガチガチに武装された学生が多く見られることからも、このような指導がかえって就職活動という型にはまった学生を作り出している要因と見る採用担当者が少なくないようである。

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