49歳「アラフィフ残業貴族」を襲った年収減 年収1000万円超の「中身」が問われている

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実は、B男さんには年間100万円以上の残業代収入があったのです。この毎月の残業代で、比較的ゆとりがある生活ができていたのです。

B男さんの会社は、おおらかな社風で、最近までは残業についても比較的寛容だったそうです。生活費を稼ぐ意味もあり、「本当は定時で帰れる時」でも、残業代を稼ぎたいばかりに、会社に残って仕事をしていたそうです。

「残業代込みの生活プラン」が破綻しかかっている

そもそも8000万円もの豪邸を購入できたのも、娘さんを中学から名門の私立に入れたのも、残業代を含めた年収で計算してのことでした。長年、残業の必要もないのに、生活費のために残業をするというスタンスが習慣化してしまったようです。

ところが最近政府が推進する「働き方改革」の影響がB男さんの会社にもやってきたのです。毎週水曜日などは、「ノー残業デー」となりましたし、毎日一定の時間になると、強制的に部屋の電灯が消えるようになり、ほとんど残業ができない状況になってしまったのです。

これで毎月の残業代が10万円以上減ってしまいました。家計には大打撃なのは当たり前です。残業代がなくなったことで、住宅ローンの支払いに加えて、気にも留めていなかった毎月5万円以上の教育費の負担が一気に重くのしかかり、家計は赤字に転落してしまいました。一方、奥様も20代で結婚してからずっと専業主婦だったので、すぐに仕事は見つからず、それまでの生活が維持できなくなってしまいました。

B男さん一家の収入を増やす別の手立てとしては、「副業」という選択もあります。しかし長年、副業をする必要もなくここまで過ごしてきているので、すぐに副業して稼げる土壌もありません。

このように、残業代ありきで生活を考えている人は、まだ少なくないと思いますが、これからは残業しにくくなる世の中になりそうです。前述のように、現在政府では「働き方改革」が推進されています。

その内容は一人ひとりの意思や能力、そして個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方ができる仕組みをつくり、一人ひとりが「ワーク・ライフ・バランス」を実現できる社会を目指すというものです。現在はその一環で、「罰則付き時間外労働の上限規制」を盛り込んだ法律の改定も進められています。簡単にいうと、残業できる時間に上限を設け、その上限を超えた場合には、企業が罰を受けるというものです。現在、多くの企業では、「ノー残業デー」や「リフレッシュデー」をさらに進化させ、社員に残業をしないような仕組みづくりを推進しています。

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