小田急、次の野望「新宿駅西口」再開発の行方 西武新宿駅を含む大型プロジェクトに発展へ

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新宿エリアの再開発では、小田急など鉄道事業者も重要な役割を担う(写真:まちゃー/PIXTA)

一方で、新宿区は2007年、東京都は2009年、国は2012年に新宿区の整備に向けて検討を開始。そして2017年6月、都と新宿区は2040年代を見据えた新宿の拠点づくりの指針をまとめた。その内容は、新宿駅西口に限定せず、東口も含めた新宿エリアの一体的な再開発を行い、東西の人の行き来が深まるような新宿の将来像を模索するというものだ。

新宿の再開発に関する検討委員会のメンバーには、小田急をはじめとした鉄道各社も名を連ねる。小田急の星野社長は、「新宿駅東口も交えた大きな拠点再整備になることは間違いない」と話す。委員会には西武鉄道も参加している。つまり、新宿駅からやや離れた西武新宿駅とその周辺も再開発の対象になる可能性があるわけだ。

西武新宿駅は歌舞伎町への玄関口。近年の歌舞伎町は大型シネコン「TOHOシネマズ」の開業もあり、ファミリー層も楽しめる街へと少しずつだが変貌しつつある。まだ猥雑な雰囲気が残る西武新宿駅周辺も再開発で変わるかもしれない。

世界一のターミナル駅

かつて日曜・祝日は閑散としていた東京・丸の内だが、2000年代以降の再開発によって、ショッピング客や観光客で絶えずにぎわう街になった。駅前広場が先頃完成した東京駅は、今や観光名所だ。

渋谷駅直上で建設が進む「渋谷スクランブルスクエア東棟」。2019年度の開業を目指す。建設中の「渋谷ストリーム」の33階から撮影(記者撮影)

渋谷は、駅周辺に高層ビルが次々と建設され、エンターテイメントだけでなくオフィスの街としての魅力を高めつつある。東京急行電鉄が今年秋に完成させる「渋谷ストリーム」にはグーグル日本法人の入居が決定している(「東急がグーグル渋谷凱旋を熱烈歓迎する理由」)。2019年度には渋谷駅の真上に「渋谷スクランブルスクエア東棟」が開業、ミクシィの入居が早くも決まっており、今後も有名企業の入居をもくろむ。

その丸の内、渋谷に続き、今度は新宿が大型再開発の舞台となる。「新宿駅周辺は、約半世紀にわたり大規模な再編整備が行われていない。老朽化等により、都市の魅力や活力が低下するなど、機能更新の時期を迎えている」。都と新宿区が作成した資料では、再開発の理由についてそう説明されている。

7路線8駅が結節し、1日約340万人の乗降客を誇る世界一のターミナル駅が新宿だ。その規模にふさわしい「新宿の顔」としての機能をいかにして形作るか。そのカギを握っているのが小田急である。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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