シリア危機から7年、まだ終わらない悲しみ 日本からは一体何ができるか

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AAR Japanでトルコでのシリア難民支援を担当する小田隆子氏(左)と、シリア・ダマスカス生まれのラガド・アドリー氏(右)に聞く、私たち日本人一人ひとりができること(写真:GARDEN Journalism)
シリア危機から7年。長期化する紛争状態の中で、多くの一般市民が巻き込まれ、不安な生活を強いられています。
2018年2月から続いているシリア首都ダマスカス近郊の反体制派支配地区・東グータでのシリアのアサド政府軍による攻撃では、3月8日時点で民間人の死者が900人を超えたとイギリスのNGO「シリア人権監視団」が発表しました。また、東グータの空爆では毒物も使われ、被害者が呼吸困難を訴えているとも報道されています。対立の構図が複雑化したシリア内戦は、7年経った今も解決の糸口を見いだせずにいます。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2018年3月1日時点で559万8685人が国外に退去しており、その内シリア難民の最大の引受国であるトルコでは354万0648人が難民登録をしていると報告されています。また、国内避難民も650万人に達しています。
長期にわたるシリア難民への支援が求められる中、日本政府は2016年5月、2017年から5年間で最大150人のシリア難民を留学生として受け入れると発表。そのうち100人を担当するJICA(国際協力機構)は、UNHCRの協力のもと、2016年11月に募集を開始しました。募集しているのは、レバノンとヨルダンでUNHCRによって難民登録された、学士号を取得している22歳から39歳までのシリア難民の方です。2017年8月には、初年度の約20人が来日しました。留学生は配偶者や子どもを帯同することができ、この5年間で家族を含めると300人ほどのシリア難民の方が来日するのではないかと言われています。
そんな中、私たち日本人一人ひとりができるアクションの形とは? GARDEN Journalismでは、国際NGO「AAR Japan[難民を助ける会]」と講談社クーリエ・ジャポンの共催で、シリア危機から8年目となる今、改めて難民支援について考えるシンポジウムを企画しました。AAR Japanからは、2017年6月から東京事務局で働くシリア人職員ラガド・アドリーさん、約30年トルコとかかわり現在はAAR Japanでトルコでのシリア難民支援を担当する小田隆子さんをお迎えします。4月10日に開催するシンポジウムを前に、アドリーさんと小田さんにインタビューしました。
AAR Japanのトルコでのシリア難民支援活動について取材した記事はこちらからご覧ください。

長期の紛争では子どもがいちばんの犠牲者に

:よろしくお願いします。

本記事はGARDEN Journalism(運営会社:株式会社GARDEN)の提供記事です

アドリー・小田(以下、アドリー):よろしくお願いします。

:アドリーさんには去年の6月にお話を伺った時には、これからいよいよAAR Japanさんで研修も受けて日本からシリアへの支援を始めますということでした(その際の記事はこちら)。今は具体的にどんな活動をされているのか教えてください。

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