教養の出発点は、「日本人とは何か?」

山折哲雄×上田紀行(その1)

 これまで「和魂漢才」と「和魂洋才」で生きてきた日本人。グローバル化が急速に進む中で、日本人はあらためて「日本文明とは何か」「日本人とは何か」を問われている。これからの時代を生き抜くために、日本人に求められる教養とは何か――。 宗教学者の山折哲雄氏が、有識者との対談を通して、日本人の教養を探る。
 第2回目は、宗教学者で東京工業大学教授の上田紀行氏をを迎えて、教養と宗教の関係について語る。
(企画協力:こころを育む総合フォーラム

「サトリ世代」「スクールカースト」と「三無主義」

──今回は、文化人類学者の上田紀行先生をお招きして、山折哲雄先生と主に3つのテーマでお話を伺いたいと考えています。教養、宗教、科学者。宗教は学校で教えるべきものなのか、それとも学校で学ぶようなたぐいの教養ではないとお考えでしょうか。

山折:そうですね。今の若者たちは「サトリ世代」だと最近、よく耳にします。面白い言い方をするなあと思い、いったいどういう悟りの内容なのかを調べてみたら、4項目ぐらいありました。

1項目が「クルマやブランド品なんかを追い求めない」。2項目が「おカネを稼ごうなんて意欲はない」。3項目が「恋愛にものすごく淡泊だ」。これは本当かなと思いますが。4項目が「情報は主にインターネットで得ている」。この4項目の特徴から「サトリ世代」だと言っている。

もうひとつ、面白い現象は、東大大学院生の鈴木翔さんが書いた『教室内(スクール)カースト』(光文社新書)の内容です。

上田:話題になっていますね。

山折:最近の中学・高校の子どもたちは、教室の中でもう序列ができているという。上と下、活発でやる気のある連中と地味な連中。その序列をみんながすんなり受け入れている。まさに「カースト化」だというわけです。

悟りもカーストも何となくインド的なイメージですが、中身はインドとは全然異なる。これは単なるネガティブなメッセージなのか、あるいはそれなりに時代の宗教的な感覚や、若者たちの宗教的認識を反映する現象なのか。

1960年代半ばの「三無主義」を思い出させます。「三無主義」というのは、当時の若者たちの「無感動」「無関心」「無気力」な性質を表したもの。時代も今と非常によく似ていました。あの頃は、経済発展からバブルへと向かっていき、全共闘運動が収束に向かう時期。今のアベノミクスは、少し明るい状況ですが、みんなどこかで信用していないでしょう。いずれは潰れるだろうと私も思っています。

あの「三無主義」と、今の「サトリ世代」や「スクールカースト」という現象を考えると、若者たちの宗教意識というのは半世紀ぐらいで繰り返しているのか、それとも今、新しい状況にあるのか、まず上田さんの話を伺って、先ほどのテーマに少しずつ入っていければと思います。

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