「北朝鮮への経済制裁」現地で見えた真の影響 現地エコノミストが明かす変化と経済の展望
米国のドナルド・トランプ大統領は2月25日、北朝鮮に対し経済制裁を強化した。一昨年以降、核・ミサイル開発を進めてきた北朝鮮に対する経済的な圧力は高まるばかりだ。
2月26日発売の『週刊東洋経済』は、「日本人が知らない地政学」を特集。米国と中国の覇権争いや、流動化する世界情勢を解説している。
経済制裁の影響は?
経済制裁を北朝鮮側はどう受け止めているか。2018年1月、記者は平壌を取材した。厳冬の時期でもあり、平壌市内は中心部でも若干人通りが少ない印象を受けたものの、1年半前の訪問時とそれほど変わらない印象を受けた。
スーパーなどの商業施設では買い物客で賑わい、商品の数も多かった。ただ、数年前には中国産など外国産商品が棚の多くを占めていたが、特に食料費や日用品では、北朝鮮国産品のほうが圧倒的に増えていた。
電気事情も、滞在中に停電はなかった。市内を行き交う車の数も多く、時間帯によっては渋滞が発生。バスやトロリーバス、市電も通常通りに運行されていた。「高騰している」と伝えられてきたガソリン価格については、現地では誰もが「ガソリンは高くなった」と口をそろえた。
だが、平壌市内は前回来た1年半前と比べて、車の通行量が少なくなったとは思えなかった。タクシーの数も増えており、市民たちは気軽に利用している。商業・娯楽施設の前では客待ちをするタクシーも少なくはなかった。レストランなど外食を楽しむ人たちも多く、食材も豊富にあった。少なくとも平壌では、表面上は経済制裁の影響を強く感じることはなかった。
2018年元日の新年の辞で、金正恩・朝鮮労働党委員長は核武力の完成を誇ったが、実は経済に関する言及が多かった。今年は「国家経済発展5カ年戦略は3年目を迎える年」とし、「経済部門全般において活性化の突破口を開くべき」「人民経済の自立性と主体性を強化し、人民生活を向上させる」とアピールした。
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