北朝鮮は制裁を強化しても笑い続けている

制裁強化が体制強化につながっている事情

金正恩氏の祖母で1919年12月24日に生まれた金正淑(キム・ジョンスク)氏の誕生日を祝賀する人々(写真:KCNA/Reuters)

2017年末時点で、北朝鮮には従来より極めて厳しい内容の経済制裁が発動されている。国連や米国主導の経済制裁に加え、北朝鮮にとって最大の貿易相手国である中国も独自の制裁を行い始めた。中国に滞在する北朝鮮人には新規の長期滞在ビザの発給が認められず、貿易取引では金融機関の利用を制限されている。

しかし、それでもミサイルは発射されてきた。 

平壌の石油価格は以前よりは上昇

経済制裁の効果が出ていないわけではない。平壌のガソリンなど石油価格が以前よりは上昇しているという。電力事情やそのほか商業活動には大きな変化はないが、商人らが不安になり始めたようだ。海外にある北朝鮮の代表部は北朝鮮内部で商売することで自らの活動費を調達しているが、品目によっては北朝鮮で販売する物資の調達に支障を来しているようだ。

「制裁は北朝鮮に痛みを与える。だから北朝鮮は国際社会の要求を受け入れるべきだ」――。これが制裁の狙いである。しかし、北朝鮮は要求を受け入れず、かえって体制を結束させるために制裁を活用している。なぜなのだろうか。 

それを知るためには、これまで北朝鮮が何をしてきたのか、特に1980年代の北朝鮮が何をしてきたのかを振り返ってみる必要がある。

1980年代、北朝鮮と韓国は体制競争で最終局面を迎えていた。韓国は1988年のソウル五輪を誘致する一方、1988年の7.7宣言(韓国の当時大統領だった盧泰愚氏が発表した『民族自尊と統一繁栄のための特別宣言』)で北朝鮮政策を攻撃的に推進し始めた。

これに危機感を抱いた北朝鮮は、1989年の第13回世界青年学生祭典(平壌祝典)を誘致する一方、この準備のために1988年2月に「200日戦闘」という総動員令を出した。韓国で出版された『1冊で読む北朝鮮史100場面』によると、「200日戦闘」とは以下のような内容だった。 

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