飲食店が右往左往、「受動喫煙対策」の行く末 五輪開催を控え、都はどういう判断を下すか

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国の受動喫煙対策の動きに、様子見の姿勢の東京都(撮影:尾形文繁)

こうした国の動きで”待ちの姿勢”に転じたのが、東京都だ。東京都は条例案を2月から始まる定例会に提案、都議会で議論が行われる予定だった。

だが、検討していた条例案と国の法案とで規制対象となる施設などの区分が異なることを受け、「条例施行後に混乱をきたさないため、国の法案の詳細が固まるのを待ってから条例案を提出することにした」(東京都)。

現状では国の法制化の動きを踏まえたうえで、6月の東京都議会の定例会で条例案が議論される予定だ。

改装の判断ができない

この先送りによって右往左往しているのが喫茶店や居酒屋などの飲食事業者だ。都内を中心に喫茶チェーンを運営する企業の幹部は「規制の詳細が決まらないと、出店や改装をする際に分煙でもいいのか完全禁煙にしないといけないのか判断ができない」と吐露する。

別の居酒屋関係者は「分煙にする際は単純に壁を作るというだけではなく、給排気の設備などそれなりに投資をする必要がある。ルールが決まらないと、新規出店の際も分煙でいいのか、完全禁煙にするべきか迷う」と話す。

これらの飲食店が最も気にしているのが、喫煙可否を判断する飲食店の面積基準だ。というのも、国の案では客席面積100平方メートル以下を喫煙可能とするのに対し、東京都は昨年秋に店舗面積30平方メートル以下のみを喫煙可能にする方向で検討を開始しているからだ。

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