全面禁煙は経済損失と考える人の残念な論理

喫煙を許容するほうが経済損失が大きい

たばこは“嗜好品”として法的に認められた商品だが……(写真:ファイン / PIXTA)

昨年来、厚生労働省を中心に進められている健康増進法改正案の概要に、複数の業界団体が反対声明を出していることが話題になっている。この改正案では飲食店での禁煙化が盛り込まれており、違反した場合は飲食店、喫煙者ともに罰せられる。同法案は1月20日招集の通常国会を通過すれば、今年前半にも施行される可能性があり、それに先んじての動きだ。

健康増進法改正案では、これまで努力義務であった小中学校や官公庁、飲食店、駅・空港などでの禁煙が義務化され、罰則についても科料が加えられることとなった。なお、飲食店と交通拠点に関しては、いずれも喫煙室の設置が認められている。

公共の場における喫煙に関しては、受動喫煙の危険性といった直接的な健康被害ももちろん大きなポイントだ。子どもが立ち入る可能性が高い場所ならばなおさらだが、問題は受動喫煙だけではない。

直接の健康被害ではないため、“健康増進”という部分からは離れるが、喫煙者自身は気づかない悪臭などの問題も大きい。喫煙率が19.3%(男性32.2%、女性8.2%、厚労省調べ)まで減少している現在の日本社会を鑑みるならば、“料理”という商品の価値を損ねる悪臭を発する喫煙を飲食店で禁止することは、極めて合理的と言えるだろう。

外食産業が「反対集会」を決起

ところが、このニュースに対して外食産業などが集まり、一律の規制に「反対集会」を開いたことが議論の扉を開いた。

中でも飲食店業界の反発は大きい。1月12日に開かれた受動喫煙防止強化に対する緊急集会において、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、日本フードサービス協会といった団体が意見を出したが、彼らの意見は実にシンプル。反対する団体の主張内容はどこも似通っている。

すなわち、法的に認められた“たばこ”という嗜好品を、たのしむ人も、たのしみたくない人も、それぞれに互いが嫌な思いをすることなく共存できる“分煙先進国ニッポン”を目指すべき――というものだ。これまでも飲食業界では、分煙の徹底や店頭でのステッカー張り付けによる喫煙可否の表示などを進めてきており、一律に禁止することで「廃業に追い込まれる店もある」と経済的にマイナスとの意見も出されていた。

しかしながら、こうした反対意見の多くは合理性を欠いていると言わざるをえない。社会全体で見た場合、喫煙を許容するほうが経済損失が大きいと考えられるからだ。

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