不動産「仲介手数料」自由化はなぜ必要なのか 50年前にできた基準に縛られる合理性はない
全国に散らばる空き家・空き地の流通円滑化を目的として、2018年1月1日より不動産仲介手数料の上限が引き上げられた。宅地建物取引業法では、不動産取引における仲介手数料は、売買価格に対応する形で上限が定められている。200万円以下は、価格×5%、200万円から400万円以下は価格×4%+2万円、400万円を超えると、価格×3%+6万円となる。
全国には多数の空き家が存在するが、物件価格が数十万から数百万といった低額なものが多いため、基準通りの手数料ではビジネスが成り立たない。そこで、今回、上限を18万円(税別)としたが、この程度では多くのケースで経費倒れになることは変わらず、不動産仲介業者が積極的に動くモチベーションにはまったくつながらないだろう。
現在の手数料規定は約50年前の基準
筆者は、もはや不動産手数料について無意味な規制は撤廃し、自由化すれば良いと考えている。手数料がわずか1%だがほとんど何もしない不動産仲介業者もいれば、10%もの手数料を受け取るが至れり尽くせりの業者もおり、多様な選択肢の中からユーザーが選択できるようにすることが理想だ。
そもそも現在の手数料規定は、48年前(1970年)の建設省(当時)の告示に基づいて決められている。1970年といえば物価はいまの3分の1程度で、名目GDPがわずか73兆円だった頃だ。
不動産仲介手数料は1947年までは自由料率だったが、暴利を貪る業者が跋扈して社会問題となり、1952年に宅建業法が制定された。「手数料は都道府県知事が定める」と規定され、やがて1970年に出された建設省告示によって、現在のような体系となった。
アメリカでは基本的に手数料は自由化されているが、業界団体がガイドラインを示していて、6%が目安となっている。売主が6%払い、売主・買主双方のエージェントで3%ずつ分け合うのが基本だ。4%、10%といったガイドラインを示している業界団体もある。
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