アパートの「造り過ぎ」はなぜ止まらないのか

空き家だらけになる未来を放置すべきでない

新築アパートがどんどん建っているけれど、入居がない…(撮影:今井康一)

アパートに対する過剰な融資に向けられる目が日に日に厳しくなってきている。日銀が2月9日に発表した「貸出先別貸出金」によると、金融機関による不動産向け融資は70兆3592億円、前年同月比約7%増と過去最高を更新したが、そのうち31.5%を占めるのは「個人による貸家業」。つまり、個人による不動産投資、アパート経営への融資が、この2年ほど高い伸びを示してきた。

相続税増税が大きな引き金に

背景には、2015年の相続税増税に伴う地主の節税需要がある。更地の上にアパートを建てれば、相続税評価額は大幅に下がる。さらには金融機関による貸し出し競争も激化している。貸出先候補の大手企業は、手元資金が豊富なうえに資金調達の手段も多様化し、需要は限定的だ。また、本格的景気回復が見込めない中、中小企業への融資は慎重にならざるをえない。そこで土地を担保にでき、いざとなれば回収を見込める可能性の高い地主層へ、白羽の矢が立ったのだ。

しかし、すでにアパートは供給過多だと考えられる。それを示すのが、住宅情報提供会社のタス(東京都・中央区)によって算出された空室率TVI(TAS Vacancy Index)である。この指標は単なる「空室率」を表すのではなく「募集戸数」を「募集建物の総戸数」で除した「ポイント」であることに留意したい。単なる空室率と異なり、現実の需給を無視している実態をよく表している面がある。

次ページ「サブリース契約」が地主を安心させてきた
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチAD
最新 経済指標の読み方・使い方

10年以上に及ぶ政府統計の大改革が始まった。実態をより理解できるようになれば、ビジネスでも活用の幅が広がる。経済指標を日々チェックしているエコノミストが活用術を伝授。