「JPN TAXI」新世代タクシーの知られざる実力 日産「NV200タクシー」とは何がどう違うのか

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第2次世界大戦前にタクシー専用車はいくつか存在したようだが、戦後に話を限れば世界的に稀有であり、多くの都市のタクシーは量産セダンやワゴン、ハッチバックの転用ですませていた。

専用車両の提案がなかったわけではない。たとえば1976年にはMoMA(ニューヨーク近代美術館)が次世代タクシーの展示会を企画しており、カーデザイン界の巨匠と言われるイタリアのジョルジェット・ジウジアーロ氏が短く背の高い箱型のタクシーを提案し話題を集めた。しかし量産化には至っていない。

NV200タクシーの外観(筆者撮影)

こうした中でルノーとアライアンスを組んだ日産は、タクシー車両のグローバル展開ができると考え、NV200をタクシー車両に仕立てて母国のみならずニューヨークにも進出したのだろう。さらにNV200は丸型ヘッドランプを備えた仕様がロンドンへの導入も決定している。この3地域での普及が進めば他国への影響もあるだろう。

一方のトヨタにとってみると、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックの存在はJPX TAXIの展開に大きく影響している。トヨタは2015年、東京を含む2024年までの五輪・パラリンピックの最高位スポンサー契約をIOC(国際オリンピック委員会)およびIPC(国際パラリンピック委員会)と結んだ。これによりトヨタはさまざまなモビリティを提供していくことでイベントをバックアップしていくことになっている。

トヨタはすでに燃料電池を動力源とする路線バスを製作し、東京都内の路線で運行を開始している。JPN TAXIはこれに続く2020年向けモビリティということができるだろう。

日本製新世代タクシーの乗り心地は?

2台の日本製新世代タクシーは使いやすく乗りやすいのか。乗客として乗った経験から主としてデザイン面を紹介していきたい。

NV200バネットタクシーの車いす仕様車(筆者撮影)

まずはNV200。筆者が乗ったのはガラスルーフがない仕様だった。背が高いので乗り降りは楽。

床はさほど高くないうえにステップが出てくるし、オレンジのグリップは大きくて握りやすい場所にあるので、足腰が不自由な方でもスムーズに乗り降りできるのではないだろうか。

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