「強化と集客」フットサル界が抱える2大課題 日本にフットサル文化は根付くのか?

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1つ目は、湘南ベルマーレやデウソン神戸が2017/2018シーズンに行った「はしご観戦」の試みだ。Jリーグの試合を観戦した地元のサポーターに、そのままFリーグの試合を観てもらおうとするこの集客施策は、結果的に大きな成功を収めた。中でも、湘南ベルマーレは、J2リーグ第36節の湘南ベルマーレvs水戸ホーリーホックの試合終了後に、同じ敷地内の平塚総合体育館でFリーグ第20節を開催し、結果的に、1674人もの観客を集めることに成功した。

サッカーの観客動員数が6629人だった。そこからサポーターがフットサル観戦を「はしごした」ことで、通常の試合よりも観客動員数を増やすことができたのだ。サッカー観戦とフットサル観戦の親和性の高さが証明された企画だった。さらに、緑色のウェアを身にまとって声援を送った湘南ベルマーレのサポーターは、男子バスケのBリーグのような派手な会場演出が実現できなくても、サポーターの熱によって、体育館を非日常空間に変えられることをも見事に証明してみせた。

サポーターの力が試合に影響

2点のビハインドから追いつき、さらに残り4分で5点を加え、劇的な勝利を掴みとった試合に対して、「点差が開いたのは、ホームの声援に後押しされた湘南の選手たちが奮起したから。こういう雰囲気の試合が増えれば、選手も観客も楽しめるはず」(当時シュライカー大阪監督、現フットサル日本代表コーチの木暮賢一郎氏)

湘南ベルマーレのサポーターで会場はにぎわった(筆者撮影)

「会場を見回したときに、鳥肌が立ちました。あのピッチに立っていられたことは、フットサル選手として本当に幸せなことだと感じます。毎試合あのような雰囲気で試合ができたら、絶対負けないんじゃないかって思うくらいです」(湘南ベルマーレフットサルクラブ刈込真人選手)

と、それぞれ監督や選手の立場から、サポーターの力が試合に大きく影響したことを認める発言をしている。

2つ目は、ここ数年、Fリーグの中でも、最も観客動員数を伸ばしたエスポラーダ北海道の取り組みだ。このクラブは、「道産子の夢をのせて」というスローガンのもと、地元に密着した様々な活動を行っているが、その中でも特徴的なのが、チームの編成方針だ。チームに所属する選手たちは全て北海道民出身者で構成されており、いわば、北海道の中から選抜された道民の代表チームなのだ。

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