初公開!東急田園都市線の遅延原因一覧 乗客救護からドア点検まで最多の原因は何?

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とはいえ、地下区間を徹底的に点検しても、別の要因で遅延は起きる。国交省の2016年度の調査によれば、田園都市線においては、1カ月の平日20日間中、5分以上の遅延が発生した日数は平均11.8日。2日に1回以上の割合で起きている計算だ。

ただ、国交省のデータには個別路線の遅延原因は記載されていない。そこで、「東急線運行情報」という東急の公式ツイッターアカウントから、2016年2月7日から2018年2月6日まで過去2年間のツイートを抽出し、原因に関する分析を試みた。

なお、このツイッターでは「15分以上の遅れ・運転見合わせが発生または見込まれる場合に、運行情報をお知らせします」とされており、10分程度の遅れはツイートされない。

ツイッターによると、過去2年間で、15分以上の遅れや運転見合わせは91件発生。月平均では3.8件だ。これを原因別に並べると、人身事故が最多の22件、次いで乗客救護と線路内立ち入りが各8件、線路内安全確認が6件、混雑が5件、大雨、線路内発煙が各4件、車両故障、乗客転落、ドア点検が各3件、車両確認、台風、乗客触車、ガラス破損、信号確認が各2件という結果となった。

残りは雪、ポイント故障、乗客同士の車内トラブルといったもので1件ずつある。緊急総点検の理由となった停電や架線トラブルも1件だ。つまり、緊急総点検で地下区間の電力系トラブルが大幅に減ったとしても、それが全体のトラブル件数を大きく引き下げるわけではない。

ホームドア設置で人身事故は減らせる

これらの原因をタイプごとにまとめてみると、人身事故や立ち入りなど、人に関する外的要因が43件、混雑、乗客救護など車内要因が14件、停電、ポイント故障、線路内発煙など設備系の要因が14件、車両故障やドア確認など車両要因が10件、台風、大雨など自然災害や気象に関する外的要因が10件という結果になった。

では、こうしたトラブルは対策を講じることでどこまで減らすことができるだろうか。まず、人に関する外的要因。東急は2019年度までに田園都市線の全駅にホームドアを設置する計画だ。完了の暁には人身事故は激減するだろう。ただし、線路内立ち入りは防げないかもしれない。

設備系の要因については、緊急総点検の内容をベースに東急は今春以降の点検体制を見直すとしており、地下区間のトラブルは減少するかもしれない。しかし、設備系の要因14件中、地下区間で起きたトラブルは6件。地上で起きたトラブルが8件あり、地上側での点検強化も喫緊の課題だ。

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